﹁何とかこの国会は乗り切った。あとは自民党総裁選の結果がどうなるかだ﹂ 野田佳彦首相の周辺は、8月29日、参院で首相問責決議が可決された後、こんな感想を漏らした。問責可決により国会は事実上の休会に入り、重要法案と位置づける赤字国債発行のための特例公債法案や、﹁一票の格差﹂是正に向けた衆院選挙制度改革関連法案などは継続審議となり、今秋に召集予定の臨時国会に持ち越される運びだ。それなのに、﹁乗り切った﹂とは合点がいかない言いぶりではないか。 察するに、﹁乗り切った﹂とは今国会での衆院解散・総選挙が回避できたことであり、﹁自民党総裁選﹂の行方を気にしているのは、今秋以降の政局を見据えてのことだろう。言い換えれば、衆院解散の先送りも視野に、総裁選で選出される新総裁が首相の政権運営を大きく左右すると示唆している。