スイスでは小売店の営業時間をめぐる住民投票が、国レベル、州レベル、基礎自治体レベルで頻繁に行われている。諸外国に比べて営業時間が短いスイスだが、その背景には直接民主制が関わっている。 スイスの多くの地域では、平日18時30分以降および日曜日は小売店が閉まっており、食料品を購入することができない。これに驚く外国人は少なくない。 ﹁スイスは他国で起きたような失敗をしたくないのだ﹂と話すのは、労働組合ウニア︵Unia︶のエヴァ・ゲール氏だ。﹁スイスにはイニシアチブ︵国民発議︶や、︵憲法改正・法律制定の可否を国民・住民投票で決める︶レファレンダムなどの直接民主主義があるため、1990年代に欧州諸国で起きた自由化の波を止めることができたのだ﹂ ゲール氏がそう語るように、労働組合は州レベルに限らず国レベルでもこうした直接民主主義制度を活用し、自分たちの要求を実現させてきた。ゲール氏はまた、﹁スイス国民