スポーツとジェンダー研究の専門家、井谷聡子が、スポーツ界でとりわけ差別が深刻化するトランスジェンダー選手をとりまく状況について検証する。︵本誌3月号掲載︶ 2021年に開かれた東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会で、LGBTQであることを公表している選手が過去最多だったという報道がありました。このニュースだけを聞いていると、スポーツ界で突然LGBTQの選手が増えたように感じる人もいるかもしれませんが、スポーツ界における性的マイノリティ差別解消に向けた取り組みは1980年代から徐々に始まりました。1982年には、元オリンピック選手でゲイ男性であることを公表していたトム・ワデルがゲイゲームズという国際スポーツ大会を作りました。ずっと欧米諸国を中心に開催されてきましたが、今年はアジアで初めて香港で開かれます。 2000年以降は当事者団体による取り組みだけでなく、国際スポーツ統括組織や
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