﹃平家物語﹄の名場面、那須与一が扇の的を射抜くシーン。問題はこのあとだ。 平家方に、那須の技量に感極まった50ばかりの男があり、舟上で舞を踊りはじめた。 大任を果たした那須与一のところに伊勢三郎がやってきて﹁命令だ。あの男も射よ。﹂と伝える。那須は男を射殺す。 これが昔っから納得いかねえ。そこまですることねえじゃん。 これは何も21世紀の平和な時代に私が生きているからそう思うばかりではない。 ﹃平家物語﹄にも、この一件の後﹁無情だ﹂と言う者も多かったとある。 やっぱそうじゃん! 絶対おかしい。 射るのを命じたのは、名前は出てこないけど順当に考えて源義経だろう。 扇の的を射るよう命じたのも義経だしね。 俺は義経のこういうところが嫌いだ。 美しい﹁扇の的﹂のシーン。春風に乗って射られた扇がひらひらと一舞、二舞…なんてノリのあとに、突然戦争・抗争の現実を突きつけられるようだ。 戦争なんだから仕方
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