世界を見渡しても希なくらい豊かで安全な暮らしができる国--。海外の日本に対するこうした評判を耳にすることは多い。しかし、生活実感はその評価を裏切るものではないだろうか。 食べ物に農薬が混じっていた。年金制度は崩壊寸前で老後が心配だ。働きたくても仕事がない……。さまざまなリスクが社会に広がっており、たとえ“安全”でもまったく“安心”できないという思いが正直なところではないか。 リスクに対する人の心理的側面を解明するのが﹁リスク認知研究﹂だ。この分野を専攻する中谷内一也さんは、﹁なぜ安全が安心につながらないか﹂をリスク認知の立場から研究している。安全の追求がなぜ安心の確保にならないのか。前編では安全と安心の違いについて聞いた。 --ここ数年、国民の信頼を失墜させた社保庁の年金問題や、中国製の毒入り餃子事件、牛肉偽装事件などのように、暮らしを不安にさせる出来事が多数発生しました。そうした事件への
![「安全」と「安心」の溝はどこから生まれる?:日経ビジネスオンライン “安全。でも安心できない”時代のリスク心理学--中谷内一也氏 (前編)](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/05f492a9ba706b05ca8fd61b1840b099fb59fdc9/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fbusiness.nikkeibp.co.jp%2Fimages%2Fn%2Fnbo%2F2011%2Fcommon%2Fnbologo_ogimage.png)