ウクライナ危機と経済に関するobata9のブックマーク (49)
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モスクワの銀行でATMに並ぶ人々。ロシアの銀行は戦時経済の中で巨額の利益を計上している︵写真‥TASS/アフロ︶ ロシア中銀は発表した資料によると、2023年度におけるロシアの市中銀行の当期利益は歴史的な高水準となった。 その背景にあるのは、企業向け貸出と住宅ローンの増加。金融・経済制裁を受けて資金繰りが悪化している企業の救済と、政府発の住宅バブルである。 ただ、これは政府からの一種の所得移転に等しく、健全な経済の成長を反映したものではない。 ︵土田 陽介‥三菱UFJリサーチ&コンサルティング・副主任研究員︶ ロシア中銀が1月30日に発表した資料によると、ロシアの市中銀行の2023年度における当期利益は3.3兆ルーブル︵約370億米ドル︶と、前年︵0.2兆ルーブル︶から大幅に反発し、歴史的な高水準となった︵図表1︶。 一見すると、欧米からの経済・金融制裁が科されているにもかかわらず、ロシア
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1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行︵現みずほ銀行︶入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員、信州大学経済学部教授、法政大学大学院教授などを経て、2022年4月から現職。著書は﹁下流にならない生き方﹂﹁行動ファイナンスの実践﹂﹁はじめての金融工学﹂など多数。 今週のキーワード 真壁昭夫 経済・ビジネス・社会現象……。いま世の中で話題となっているトピックス、注目すべきイノベーションなどに対して、﹁キーワード﹂という視点で解説していきます。 バックナンバー一覧6月、ロシアの消費者物価指数︵CPI︶上昇率は3%を上回った。戦闘における﹁ロシア劣勢﹂との報道、民間軍事会社ワグネルの武装蜂起などをきっかけに、ルーブルが下落する場面も増えた。ロシア中央銀行は、自国通貨の下落によって輸入物価はさらに上昇し、インフレ懸念が
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ジャーナリスト。アジア・ビズ・フォーラム主宰。上海財経大学公共経済管理学院・公共経営修士︵MPA︶。およそ15年滞在した上海で情報誌創刊、“市井の息遣い”から時代の変遷をウォッチ。﹁中国取材はデッサンと同じ。あらゆる角度から取材して光と影で実像をつかむ﹂を持論に30年近く中国に向き合う。近年は中国からの人や資本の流入をフォロー。ダイヤモンド・オンライン﹁ChinaReport﹂は10年を超える長寿コラム。 著書に﹃中国で勝てる中小企業の人材戦略﹄︵テン・ブックス︶、﹃インバウンドの罠﹄︵時事出版︶﹃バングラデシュ成長企業﹄︵共著、カナリアコミュニケーションズ︶、﹃ポストコロナと中国の世界観﹄︵集広舎︶ほか。内外情勢調査会、関西経営管理協会登録講師。宅地建物取引士。3匹の猫の里親。 China Report 中国は今90年代より20年超、中国最新事情と日中ビジネス最前線について上海を中心に
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プロローグ/マスコミ界を徘徊する神話 ﹁一匹の妖怪がヨーロッパを徘徊している。共産主義という名の妖怪が﹂ ﹁一つの神話がマスコミ界を徘徊している。石油・ガス収入によりロシアの戦費は問題ないという神話が﹂ 前者は﹃共産党宣言﹄︵K.マルクス︶冒頭の一句、後者は筆者のパロディーです。 筆者は2022年2月24日のロシア軍によるウクライナ全面侵攻開始以来、戦費問題に言及してきました。 しかし、マスコミ界では戦費に言及する報道・解説記事はほぼ皆無で、民間テレビには﹁ロシアは石油・ガス収入があるので、対露経済制裁措置は効果ない﹂と解説する経済評論家も登場しました。 ロシア軍は2022年2月24日にウクライナ全面侵攻開始。この原稿を書いている本日1月14日はプーチンのウクライナ侵略戦争から325日目となり、ウクライナ侵略戦争は既に11か月目に入っており、もうすぐ丸一年を迎えます。 本来ならば、ロシア軍
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土田 陽介 ﹇三菱UFJリサーチ&コンサルティング 調査部 副主任研究員﹈ Dec. 19, 2022, 07:10 AM 政治 79,712 ウクライナとの戦争の予期せぬ長期化と、欧米を中心とする国際社会からの経済・金融制裁を受けて、ロシアの経済は着実に疲弊している。最新7〜9月期の実質GDPは前年比4.0%減と、前期︵同4.1%減︶と同様に厳しい結果となった。続く10月の月次の実質GDPも前年比4.4%減と、9月︵同4.5%減︶とほとんど変わらなかった。 石油やガスの輸出が中国やインドなど新興国向けに好調であるから、﹁ロシアの経済は盤石だ﹂という見方は的外れだ。
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︵土田 陽介‥三菱UFJリサーチ&コンサルティング・副主任研究員︶ 生産統計からロシアのモノ不足を検証する ロシアがウクライナに侵攻したのは、今年の2月24日のことだった。事態を重く見た欧米を中心とする主要国は、ロシアに対する経済・金融制裁を矢継ぎ早に強化した。 象徴的な制裁の一つに、ロシアの主要な銀行を国際銀行間通信協会︵SWIFT︶から排除したことがある。ロシアの貿易決済を困難にし、貿易を停滞させることがその狙いだった。 ロシアの貿易収支は黒字だが、その大部分を計上するのは石油やガスの輸出だ。つまりロシアは石油やガスを輸出し、その稼ぎでそれ以外のモノを輸入する経済である。 実際、ロシアの製造業は部品を自国で製造する能力が低く、輸入に頼っていたため、ロシアで完成品を作ろうとすると、多くの部品や中間財、資本財を輸入する必要があった。 そうした部品や中間財などを、ロシアは主にヨーロッパから輸
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戦争の規模こそ異なれど、ウクライナ侵攻は﹁第2のバルバロッサ︵赤髭︶作戦﹂とも言えましょう。 この原稿を書いている12月5日は、2022年2月24日のロシア軍によるウクライナ侵攻後既に285日目に入りました。 昨日︵12月4日︶のOPEC+協調減産会議では、現行の減産維持合意︵2mbd減産︶を来年も継続することが決定︵mbd=百万バレル/日量︶。 次回OPEC+協調減産会議は来年6月4日に予定されていますが、必要に応じ臨機応変に開催されることも決まりました。 今回の協調減産継続を受け、今後油価はどのように動くのか筆者は注目しております。 本稿の結論を先に書きます。ロシアのV.プーチン大統領︵70歳︶の対ウクライナ戦争は、結果として、ロシアの原油と天然ガス生産量低下をもたらすことになるでしょう。 ロシア経済は石油・ガス依存型経済構造です。ロシアの原油・天然ガス生産量低下によりロシア経済は弱体
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急激な円安によって一時1ドル=150円を超え、日本円の価値はわずか半年で30円近くも下落した。一時的に円高方向に動いているようにも見えるが、日本の国力そのものが低下したことで、“魅力のない国・日本”の通貨が売られて価値が下がり、他国から見向きもされなくなったということだ。 実際、いまの日本には、エネルギーも食料も、何もかも足りていない。割を食うのは当然、私たち日本国民だ。 インフレが起これば、物価の上昇とともに賃金が上がるのが世界の常識だ。だが、日本は、世界でも唯一の﹁30年間賃金が上がらない国﹂。国税庁の民間給与実態統計調査では、日本のサラリーマンの平均年収は、ピークだった1997年を一度も上回っていない。経済評論家の加谷珪一さんが指摘する。 ﹁日本のインフレ率が低いのは、コロナ対策の影響などではありません。単純に、日本経済だけが30年間著しく不景気で賃金が上がらないから、物価も上がらな
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土田 陽介 ﹇三菱UFJリサーチ&コンサルティング 調査部 副主任研究員﹈ Nov. 15, 2022, 07:40 AM 国際 40,458 モスクワで行われた軍事パレードに出席するプーチン大統領。 Mikhail Metzel, Sputnik, Kremlin Pool Photo via AP ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が9月21日に発令した部分動員令に基づく予備役の招集が10月28日、終了した。 約30万人のロシア国民が、この部分動員令で徴兵されたとも報道されている。 また部分動員令とは別に、11月1日から定例の秋の徴兵が開始された。18歳から27歳の男性12万人が対象となり、部分動員令の発令の影響で例年よりも1カ月遅れての開始となる。そもそもロシアでは徴兵逃れが横行していたが、ウクライナとの戦いが膠着化するなか、ロシアの若者男性のどの程度が、秋の定例の徴兵に応じるか定
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バイデン政権のアドバイザーは10月31日、プーチン大統領はウクライナへの侵攻でロシアが世界経済から大きく後退する中、石油の輸出以外の分野で自国の経済を痛めつけていると発言した。 ﹁ロシアがこの戦争を継続する上で、ただ一つ残された資金の供給源は石油だ﹂と、バイデン大統領のアドバイザーを務めるアモス・ホッホスタインは31日のCNBCの取材に語った。﹁プーチンは経済の他の部分を破壊した﹂と彼は付け加えた。 国際通貨基金︵IMF︶の予測によると、今年のロシアのGDP成長率はマイナス3.4%の見通しで、米国︵1.6%︶、中国︵3.2%︶、英国︵3.6%︶、日本︵1.7%︶の2022年のGDP成長率が停滞しつつもまだプラスであるのと比べるとはるかに悪い。 ロシア経済の落ち込みの多くは、米国や欧州連合とその同盟国からの制裁の影響によるもので、ほぼ全ての輸出を停止させられたが、石油資源の豊富なロシアにとっ
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部分動員令を出したプーチン大統領︵提供‥Russian Defense Ministry Press Service/AP/アフロ︶ 最新4〜6月期の実質GDP︵国内総生産︶は前年比4.1%減と、4四半期ぶりの前年割れに陥った。ロシア経済発展省が発表する月次の実質GDPは、6月の同5.0%減をボトムに、7月が同4.3%減、8月が同4.1%減とマイナス幅を縮小させていたが、プーチン大統領が9月21日、ウクライナでの戦闘における劣勢打開を狙い、ロシア連邦としては初となる部分動員令を出したことで、経済に再び強い負荷がかかっている模様である。 特に消費者マインドが悪化し、個人消費が急減したことが、民間が発表する週次統計から明らかになっている。 例えば、銀行最大手ズベルバンク傘下の調査会社ズベルインデックスが発表する週次の消費支出︵非食品︶は、部分動員令が出された直後の9月25日週は前年比4.7%減
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プロローグ/漂流するプーチン・ロシア号 ロシア︵露︶のV.プーチン大統領︵69歳︶を船長とする﹁プーチン・ロシア﹂号は、目的地不明の羅針盤のない航海に出た結果、ロシアの国家戦略とエネルギー政策が漂流しています。 旧ソ連邦復活を夢見て、羅針盤のない航海に出た﹁プーチン・ロシア﹂号がどこに到着・漂着するのか現状では不明です。 しかし、沈みゆく船から真っ先に鼠が逃げ出すがごとく、鼠は既に逃げ始めています。 漂流の途中で食料が尽きる可能性もあり、座礁するか、無人島に漂着するかもしれません。 戦艦バウンティ号のように、近い将来、船内反乱が起きることもあり得ましょう。 プーチン新ロシア大統領が2000年5月に誕生した時、彼のスローガンは強いロシアの実現と法の独裁でした。 ロシアの大統領は弱いB.エリツィン大統領から強いプーチン大統領に代り、ロシア国民はプーチン大統領誕生に期待を寄せていました。 当時サ
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ロシア政府は2014年のクリミア半島併合以降、経済の﹁要塞化﹂を進めてきた/Natalia Koleniskova/AFP/Getty Images ロンドン︵CNN Business︶ ウクライナ侵攻から6カ月、ロシアは予想外の消耗戦に足を取られているが、別の戦いでは成功を収めつつある。石油の輸出に依存したロシア経済は深刻な不況に陥っているものの、想定していたよりもはるかに持ちこたえている。 ﹁モスクワ市内を車で走っていると、道路は相変わらず渋滞している﹂。こう語るのは、1990年初期にロシア経済相を務めたアンドレイ・ネチャーエフ氏だ。 これは中国とインドが安いロシア産石油にすぐさま飛びついたおかげだ。だがネチャーエフ氏をはじめとする専門家は、ロシア経済がすでに衰退し始めており、西側からの制裁によって長期的な停滞を迎える可能性が高いと指摘する。 欧米ブランドが一斉にロシアから撤退した後、
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ロシアに支援要請 燃料輸入で―スリランカ 2022年07月07日05時18分 スリランカのゴタバヤ・ラジャパクサ大統領=2021年11月、英グラスゴー︵AFP時事︶ ︻コロンボ・ロイター時事︼深刻な経済危機に直面しているスリランカのゴタバヤ・ラジャパクサ大統領は6日、ツイッター上で、ロシアのプーチン大統領に対し燃料輸入に向けた支援を要請したと明らかにした。 <スリランカ経済危機 関連ニュース> スリランカは経済政策の失敗や新型コロナウイルス危機の影響で外貨が急減。生活必需品の輸入が困難になり、医薬品や食料、燃料の不足が深刻化している。ガソリンや軽油の在庫が底を突く中、政府は全土の学校を休校とし、公務員には自宅で勤務するよう求めている。 ラジャパクサ氏は、プーチン氏と﹁非常に生産的なテレビ会議を行った﹂と投稿。その上で、ロシアから燃料を輸入するため、信用面での支援を求めたとしている。スリラン
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ロシア産天然ガスの輸入が細っている欧州連合︵EU︶各国が対応に苦慮する状況が一段と鮮明になってきた。写真はEUの旗。ブリュッセルで2019年9月撮影︵2022年 ロイター/Yves Herman︶ ﹇ベルリン/コペンハーゲン 21日 ロイター﹈ - ロシア産天然ガスの輸入が細っている欧州連合︵EU︶各国が対応に苦慮する状況が一段と鮮明になってきた。21日にはドイツ産業連盟︵BDI︶が今年のドイツの経済成長率見通しについて、ロシアのウクライナ侵攻前の3.5%から1.5%に引き下げ、ロシア産ガスの輸入が完全に止まった場合は景気後退︵リセッション︶突入は避けられないと警告した。
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︻ロンドン=板東和正︼世界の大手金融機関でつくる﹁クレジットデリバティブ決定委員会﹂は1日、ウクライナ侵攻を続けるロシアのドル建て国債について、利払いに不履行が発生したとの判断を下した。契約通りの条件で利払いができないとして、ロシアが市場から事実上のデフォルト︵債務不履行︶と認定される可能性が高まった。 デフォルトとなったと判断されれば、ロシアの外貨建て債務のデフォルトはロシア革命直後の1918年以来、約1世紀ぶりとなる。デフォルトに陥れば、ルーブルのさらなる下落などを招き、ロシア経済の混乱に拍車がかかりそうだ。 金融商品の支払い義務の是非などを協議する同委員会は、4月に償還期限を迎えたロシアのドル建て国債について、支払猶予期間中に発生した利息を受け取れなかったとの投資家の主張の当否を判断した。 具体的には、ロシアは30日間の猶予期間が切れる直前の5月上旬にドル建て国債の元利金を支払ったが
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ルーブルが、V字回復ーー。戦争の長期化と経済制裁により、ロシア経済は大きな打撃を受けている。ところが、一時、急落していたルーブルが、現在、ウクライナ侵攻前の水準に戻っている。どういうことなのか。 侵攻前、ドル=ルーブル相場は、1ドル=84ルーブルだったが、侵攻翌日の2月…
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ロシア・ウクライナ戦争の衝撃…日本人がいま注視すべき﹁国際金融の地殻変動﹂ 国際経済・金融はどこへ行くのか? ロシアによるウクライナ侵攻で、世界は変わりました。それは、ポスト冷戦︵ソ連崩壊以降のグローバル化の時代︶の終焉というにとどまらず、冷戦時代すら飛び越えて、第二次世界大戦前夜の時代まで世界史を後退させたと思います。 政治・軍事・社会・文化など、その影響は広範に及びますが、本稿では国際経済・金融の観点から今後の展開を大胆に占ってみようと思います。 インフレと経済停滞が併存する可能性 まず、短期的な見通しを考えてみましょう。 世界経済はすでにコロナ禍による供給面の混乱からくるインフレに直面していましたが、それに加えて、ロシアとウクライナからの一次産品︵エネルギー、食糧、鉱物資源など︶の輸出が激減し、国際価格がさらに上昇します。特にロシアからの輸出への依存度が高い欧州諸国では、新たな供給源
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