欧米の金融引き締めなどで世界景気が失速する中でもなお、原燃料が高値に張り付いている。ロシア情勢の悪化に伴う急騰はピークアウトしたが、足元では供給不安が続く欧州の天然ガスがコロナ禍前の2019年末比で約9倍高く、電気自動車(EV)向けが好調な銅は約3割高い。市況の高止まりは燃料調達リスクの拡大を映し出す一方、脱炭素関連の需要増に伴う商機の広がりも示唆する。原燃料の相場が、争奪激化のシグナルを発している。(田中明夫) 対ロシア制裁の影響が直撃する欧州連合(EU)は、米国などから液化天然ガス(LNG)調達を増やし、11月1日期限のガス備蓄目標(貯蔵能力比80%)を達成したが、相場は依然高値にある。フランスで設備障害による原発の稼働停止が長引く中、9月にロシアとドイツを結ぶ大型パイプラン「ノルドストリーム」が破損。冬場のガス需給のタイト化が意識され、足元では北東アジアのLNGスポット価格も19年末
ノルドストリーム2からのガスの気泡が海面に上がる=27日、デンマーク・ボーンホルム島付近/Danish Defence Command/Reuters (CNN) ロシアからドイツにのびる天然ガス供給パイプライン「ノルドストリーム1」の運営会社は、バルト海の海底パイプラインシステムに「前例のない」損傷が生じたと明らかにした。ロイター通信が伝えた。 スウェーデン海事局はCNNに、デンマークのボーンホルム島付近でノルドストリーム1と2のパイプラインからのガス漏れが3件確認されたと語った。 当局は船舶に対し、漏えい箇所から約8キロ離れるよう警告し、航空機に対しては1000メートルの高度を保つよう警告を出した。広報担当者によると、最初のガス漏れの報告は26日午後で、同日夜にもう2つの漏れが確認された。 デンマーク軍が公開したノルドストリームからのガス漏れとする映像には、気泡と荒れた海面が映っている
8月29日、国際エネルギー機関(IEA)のビロル事務局長は、当地で行われた会合で、ロシアは国内の天然ガス貯蔵がいっぱいとなり、今後数カ月にガスのフレアリング(焼却処分)を増やす公算が大きいとの見方を示した。写真は6月、デンマークのSoenderborgで撮影。提供写真(2022年 ロイター/Ritzau Scanpix/Claus Fisker) [スタバンゲル(ノルウェー) 29日 ロイター] - 国際エネルギー機関(IEA)のビロル事務局長は29日、当地で行われた会合で、ロシアは国内の天然ガス貯蔵がいっぱいとなり、今後数カ月にガスのフレアリング(焼却処分)を増やす公算が大きいとの見方を示した。
電気料金の上昇が続いている。東京電力管内の標準的な料金は1年間で約30%上昇した。大手電力会社の料金体系によっては、燃料費の変動を料金に反映させる燃料費調整制度が設けられている。 大半の電力会社では調整制度で設定されている上限額に達しているため、今後電力会社が石炭、液化天然ガス(LNG)などの価格上昇分を負担することになる。同様の制度を導入している新電力と呼ばれる電力小売会社も同様の負担を迫られる。 燃料価格上昇と円安により大手電力会社の4~6月決算では、大半が赤字になった。新電力の中には事業から撤退する企業もある。 電気、ガスなどの社会インフラを提供する企業の経営が不健全な状況になれば、安定供給が脅かされる。経営の健全化を図るため、家庭用、産業用電気料金体系の見直しが始まっている。消費者が安定的に供給を受けるためには料金体系の見直しは止むを得ないだろう。 日本の電力供給の40%はLNG火
ロシアのガスパイプライン「ノルドストリーム」の欧州向け天然ガス削減によりEUのガス在庫目標の達成は難しくなっている。写真はイメージ。18日撮影(2022年 ロイター/Dado Ruvic) [ロンドン 26日 ロイター] - ロシアのガスパイプライン「ノルドストリーム」の欧州向け天然ガス削減により欧州連合(EU)のガス在庫目標の達成は難しくなっている。EUは仮にこの冬を乗り切ったとしても、欧州のエネルギー安全保障巡る不安は払拭されず、ガス価格は当面高止まりする可能性がある。 ロシア国営天然ガス会社ガスプロムは25日、欧州向けガスパイプライン「ノルドストリーム」について、タービン1基を追加的に停止させるため供給量が減少すると発表。27日から日量3300万立方メートルに減少する。供給量は現時点ですでに従来水準の40%に減少しており、今回の発表で現在の水準からさらに半減する。
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