著: 寺坂直毅 写真: 小高雅也 デパート大好き少年が夢見る街 幼稚園に通っていた頃からデパートが好きだった私。実家は九州・宮崎市。実家のすぐ近くに何軒かデパートがある環境でした。 近所の公園にも行かず、遊び場はデパートのエスカレーターやエレベーターだった私は、太陽の光より、デパートのシャンデリアの光を浴びて育ったのです。 小学生の頃には、ますますデパートへの情熱が高まっていき九州、中国、四国、近畿などのデパートを旅していましたが、憧れは﹁東京・日本橋のデパートを巡ること﹂でした。というのも、﹁日本橋﹂は、日本のデパートの﹁ふるさと﹂のような場所だからです。 日本のデパートの元祖は﹁三越﹂です。1673年、創業者三井高利氏︵※みついたかとし/江戸時代の豪商。三井財閥の基礎を築いた︶が、呉服屋﹁越後屋﹂を日本橋で開業。そして1904年︵明治37年︶、呉服以外にも欧米のデパートのようにさまざま