「再生数のためって、いっそ言ってほしい。」 YouTubeのコメント欄に、体温の抜けた塩辛い文字がいくつも書き連なる。ディスプレイ上に表示されたそのメッセージはどこまでも機械的な表現だというのに、それは確かにこの地球上のどこかで生活している誰かが打ち込んだ、紛れもない「生きた言葉」であることが嫌でも脳裏をよぎる。 しんどい、な。 少し胸がギュッとして、わたしは思わずスマホの画面に目を細めてしまった。決して自分の動画につけられたコメントではない。あくまでネットを通して知ったクリエイターという、言ってしまえば「見知らぬ人」が作って発信しているコンテンツにつけられた、ただのテキスト情報だというのに。 一たびそのフレーズに釘付けになってしまったわたしの頭はチクチクと、まるで質の悪いウールで全身をすっぽりと覆われたかのような何とも言えない居心地の悪さを感じていた。 もう一度画面に目をやると、表現は違
![何も信用できなくなった消費者と、神聖化される発信者の魔女裁判。|スワン](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/3b092d373973174a4330e3329250983877eda531/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fassets.st-note.com%2Fproduction%2Fuploads%2Fimages%2F86078909%2Frectangle_large_type_2_df0b054cf5e3dcd3ef6947d1e7fccf07.png%3Ffit%3Dbounds%26quality%3D85%26width%3D1280)