﹁カラスの漢字“烏”が“鳥”より一画少ないのは体が黒く目がどこにあるかわからないから﹂という説があります。以下のように、現在販売されている漢和辞典にも掲載されています。 象形。からすの形にかたどる。からすはからだが黒く、目がどこにあるかわからないので、﹁鳥﹂の字の目にあたる部分の一画を省いた。借りて、感嘆詞、また、疑問詞に用いる。 ――﹃角川 新字源﹄改訂新版、角川書店2017年、p824 烏は鳥の目玉を表す部分である﹁-﹂を省いた形。 ――﹃漢字源﹄改訂第六版、学研2019年、p1152 しかし、この説は誤りです。 この説は金文の研究が盛んになるより以前に提唱されましたが、清代に金石学︵金文研究︶が発達したおかげで誤りであることがわかりました。すなわち、古文字学︵古代の漢字を研究する学問分野︶の世界では100年以上前に否定された説です。 漢和辞典に掲載されているいわゆる﹁漢字の成り立ち﹂