盲導犬は、視覚に障害を持つ人の目となり、共に歩むパートナーだ。日本で育成された最初の盲導犬﹃チャンピイ﹄が誕生したのは、1957年の夏のこと。以来、活躍の場を広げ、全国の実働数は今や1000頭を超えたとされている。 しかし、国産盲導犬第1号が歩み始めてから57年経った今も、世間一般の理解は十分とは言えない状況だ。歩行中の嫌がらせ行為や育成団体へのストーカー的な苦情電話が後を絶たない。一部の使用者や育成団体関係者の口からは、﹁近年、逆に誤解や色眼鏡で視覚障害者と盲導犬を見る人が増えている﹂という言葉も出るほどだ。 この夏、それを裏付けるような事件があった。人が﹁見えない﹂、犬が﹁抵抗しない﹂ことにつけ込んだ何者かにアイメイト︵盲導犬︶が刺され、けがを負わされたのだ。 まず、事件の概要から追ってみよう。被害に遭ったのは、埼玉県の全盲の男性︵61︶とアイメイトの﹃オスカー﹄だ。国産盲導犬第1号﹃