遠足や旅行に水を差す、子どもの乗り物酔い。せっかくの楽しいイベントが一気に憂うつなものに転じかねない。酔い止め薬も効かない重症者の治療も手掛ける石井正則・東京厚生年金病院耳鼻咽喉︵いんこう︶科部長に、克服法を聞いた。︻田村佳子︼ 外来には、電車の1駅さえ乗れない子も訪れる。﹁乗り物酔いは、体のバランスをつかさどる内耳への刺激と、視覚情報とのズレによって生じます﹂。石井医師は切り出した。 車が止まったり曲がったりする時、内耳には大きな刺激が加わるが、視界はそれほど動いていないため、感覚にズレが生じる。このズレを脳が﹁不快﹂と判断した場合、自律神経が刺激され、吐き気などが生じる。内耳や自律神経を鍛え、感覚のズレを脳が不快と思わなくなるまで揺れに慣れれば、酔わなくなるという。 では何をすればよいのか。石井医師が奨励するのが﹁でんぐり返し﹂だ。 まず前回りを1回。気持ちが悪くなったら1日1