資本主義とは相いれない 斎藤はベルリンのフンボルト大学に留学し、エコロジーに関するマルクスの視座についての研究で博士号を取得した。2016年には、マルクスの「エコソーシャリズム」に関する学術書を出版。同書の英訳版は、マルクス主義の伝統に基づいた著書に対して与えられる権威ある賞、ドイッチャー記念賞を受賞した。 同時期、環境活動団体のあいだで数十年にわたり議論されていた脱成長理論が、ヨーロッパでブームとなった。斎藤はティム・ジャクソンやギオルゴス・カリス、ケイト・ラワースなどの著作を読みはじめたが、これらの理論家はみな、地球という惑星には限界があり、人類がそれを超えてしまえば大きな混乱は避けられないと主張している。 それまでも、トマス・マルサス以降の思想家たちは人口拡大の限界について語ってきたし、ときにはそこに物議を醸す主張が含まれていた。たとえば、ポール・エーリックは1968年のベストセラー
20世紀を代表する哲学者とされるハイデガーですが、近年、海外におけるその求心力は急速に低下しているといいます。そのきっかけとなったのが、「黒いノート」と呼ばれるハイデガーの覚書です。そこには、「反ユダヤ主義的」な言辞が含まれている、とされたからです。 母国ドイツでは「触れてはいけない」哲学者となったハイデガー。 しかし防衛大学校の轟孝夫教授は、そうした態度は決めつけであり、ハイデガーのテキストを解釈すると、そう単純に反ユダヤ主義的と言い切れるものではない、と考えます。 そう主張する轟教授に、ドイツ人研究者はどんな態度を示したのでしょうか。 【本記事は、轟孝夫『ハイデガーの哲学 『存在と時間』から後期の思索まで』(現代新書)から抜粋・編集したものです。】 「黒いノート」編者のハイデガー研究者が言ったこと この「黒いノート」の刊行をきっかけとして、いわゆるハイデガーの「反ユダヤ主義」をめぐる研
音楽でもそうだけれど、古典はときに現代の作品以上に刺戟的だったりする。古典というくらいだからそれが生み落とされた年代は古く、一見わたしたちの暮らす日常からかけ離れた世界や価値観が描かれているように映るかもしれない。にもかかわらず古典というやつは「これってまさに今日の問題じゃん!」と思わせる要素を少なからず含んでいるもので……長い年月をサヴァイヴしてきたがゆえにもつことを許された魅力というか、まあ、だからこそ古典は古典たりえているのだろう。かのマルクスもその代表選手のひとりである。 新しい解釈を誘発しない古典は古典とは呼べない。マルクスもまた一世紀以上にわたりさまざまに読み解かれてきた。たとえばフランスの哲学者ジャック・デリダ──宣伝しておくと、もうすぐその伝記をele-king booksから刊行します──はソ連崩壊後の1993年に『マルクスの亡霊たち』なる本を上梓している。『共産党宣言』
Taiga|書店員📚 @Silver_Hammer6 書店員7年目。清風堂書店で社会・人文書を担当しています。ゲラをください。本を置かせてもらえるスペースも募集中です。 note.com/taiga909 Taiga|書店員📚 @Silver_Hammer6 閉店5分前にやってきたお客さんに「マルクスの資本論はありますか」と聞かれた。上司から「人生100年時代云々」「お金の勉強にもなるから資本論を読め」と言われ来たらしい(その上司は本当に読んだのかすら怪しいが)↓ 2024-02-06 22:36:38 Taiga|書店員📚 @Silver_Hammer6 あえて白井聡の『武器としての「資本論」』を勧めてみるも「違う」とのこと。平積みしている斎藤幸平『マルクス解体』に興味があるようだったので、まず1冊目として『ゼロからの「資本論」』を勧めるとうまく嵌ったようだった。ビジネスパーソンに
… 「マルクス解体」 [著・訳]斎藤幸平 本書は派手に広告されているが、その内容は晩期マルクスの環境思想を発掘しようとする実直な研究書である。しかも、もとは英語で刊行された。人文・社会科学の分野で、日本人が外国語で理論的著作を発表し、それが好評を得ることはめったにない。この快挙は、著者が普遍的な地平で思考してきたことを物語る。 マルクスの『資本論』は未完に終わったが、その代わり晩年にかけて大量の研究ノートと草稿が遺(のこ)された。著者はこのノートの核心に、エコロジカルな経済学批判を認める。マルクスは自然科学に熱中し、特にリービッヒによる掠奪(りゃくだつ)農業批判に触発された。掠奪的な資本主義は、自然と人間のあいだの「物質代謝」の循環に亀裂を入れ、土壌を荒廃させ、そこから来るトラブルを他に「転嫁」することで拡大する。彼はこの資本の飽くなき成長が、世界規模の裂け目を生じさせることを予想していた
21世紀、新自由主義の蔓延により経済格差は拡大の一途をたどり、社会の矛盾はいよいよ大きくなっています。 いまや人びとの深層心理までをも支配し始めた「新自由主義的統治」のロジックを根本次元において批判できる思想はマルクスを措いて他にはない―― 大黒弘慈氏による、21世紀にこそ生かされるべき、マルクス思想の本質。(#1/全6回) 新自由主義的統治の本質 2008年の金融危機以降「貧困」の問題がふたたび社会問題として人々の関心を集めるようになっている。階級分化が激しくなったことをもって現代を19世紀中葉の自由主義段階に擬えようとする見方さえあるほどだ。 しかし現代は、貧困層にまでも奢侈や金融が食い込む一方、労働者ですらも企業と同様に投機に手を染める時代であるという点において19世紀とはまったく異なっている。 また「労働者による投機」なるものが、低成長下で企業が自己金融化に向かうなか、過剰な金融資
記事:じんぶん堂企画室 マルクス『資本論』の初版本(1867年) 書籍情報はこちら ――前回は東大駒場寮時代のお話を伺いました。午前10時まで寝ていたということは、寮では先輩たちと夜中まで議論するような生活ですか? 柄谷 いや、本を読んでいた。誰かと一緒ではない。ひとりですよ。一番よく読んでいたのは、マルクス経済学者の宇野弘蔵です。ブント系は宇野を読むものだと聞いてたからだと思うけど、『経済原論』など、入学して早速買いましたね。マルクス主義について通俗的には知っていたけど、初めてマルクスについて考えた。マルクスの本領は『資本論』なんだと、宇野を通じて知った。 経済学者の宇野弘蔵 ――62年、経済学部に進みます。宇野弘蔵は58年に東大を退官していますが、当時は弟子の鈴木鴻一郎が教えていますね。宇野派の経済学を学ぶのが目的ですか? 柄谷 勉強しないでいいからです(笑)。当時、文科一類からは基本
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婚活とマルクスの疎外論を絡めた記事が話題になってたけどさ はっきり言って、婚活とマルクスの疎外論は関係ないんだよ マルクスわかってるやつがブクマカに皆無なのがよく分かる せめて資本論と経哲草稿と共産党宣言くらいは読んでるんだろうな? 解説本じゃなくてさ マルクスの疎外論って、資本主義における労働疎外の話なんだよ 本来労働は喜びなんだが、資本によって労働の喜びが失われるって話なんだ そこから人間疎外という話になる 資本に支配されることによって、人間らしさが奪われるという話なんだ これが唯物史観(物によって人間が動かされている)なんだよ だから資本主義をやめて生産物を労働者の手に取り戻し、人間らしさを取り戻そうという話になる そこで婚活の話。 婚活って資本主義に関係あるのか? 確かに収入によって選ばれないひとも出てくるが、そんなの資本主義以前からだろ? 古代でも中世でもそんなの当たり前だったん
「ブルシット・ジョブ」(クソどうでもいい仕事)という言葉がSNS上で話題になった。なぜ働くことに違和感を抱く人が増えたのか。NHKエンタープライズ、エグゼクティブ・プロデューサーの丸山俊一さんは「その問題を解く鍵の一つは、マルクスの『資本論』にある」という。丸山さんの著書『働く悩みは「経済学」で答えが見つかる』(SB新書)から、「マルクス先生」と「アライさん」の問答をお届けする――。 転職で給料が倍になったアライさんの憂鬱 「マルクス先生、革命の夢はひとまず置いて。もうちょっと実践的なこと、聞いていいですか?」 最近外資系IT企業にコンサルタントとして転職をしたというアライさんが切り出した。転職で給料が2倍になったというみんながうらやむようなアライさんだが、その顔色はそこまで明るくは無いようだ。 「お給料がアップしたのは素直に嬉しいんですけれども、違和感があるんですよね。自分自身はまったく
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