東京理科大学の河原尊之教授らの研究チームは、回路線幅22ナノメートル(ナノは10億分の1)の相補型金属酸化膜半導体(CMOS)を使い、現在の量子コンピューターを超える計算能力を持つ大規模集積回路(LSI)システムを開発した。創薬や材料開発などに生かせる「組み合わせ最適化問題」を低消費電力かつ高速に解く。複数のチップを並列動作させることで機能を拡張し、大型の設備が必要なクラウドサービスを使わずに大規模な計算を可能にする。 河原教授らが開発したのは、複数のLSIチップをつないで機能を拡張できるスケーラブルな全結合型の「イジングLSIシステム」。これまで1チップ内に収まっていた演算機能を、複数の汎用CMOSに分けて接続することで拡張可能なことを実機で実証した。 22ナノCMOSで作製した演算LSIチップ36個と制御用FPGA(演算回路が自由に書き換えられる半導体)1個を搭載。現状のゲート方式の量
これからの社会をいままで以上に豊かにすると期待されるキーデバイスが、光を電気信号に変換する「センサー」です。キヤノンは、暗闇でもフルHD(約207万画素)を超える世界最高※1の320万画素のカラー撮影が可能な超小型(13.2mm × 9.9mm)のSPADセンサーの開発に成功しました。 ※1 映像撮影用のSPADセンサーにおいて。2023年7月31日現在、キヤノン調べ 2023/10/16 SPAD (Single Photon Avalanche Diode) センサーは、イメージセンサーの一種です。イメージセンサーといえば、カメラなどに搭載されるCMOSセンサーを思い浮かべますが、SPADセンサーはCMOSセンサーと原理が異なります。 光に粒子の性質があるとことを利用するのは同じであるものの、CMOSセンサーがある一定時間に画素にたまった光の量を測るしくみに対し、SPADセンサーは、画
昨年11月1日から発行された新500円硬貨。筆者はまだ片手で数えるほどしか見たことがないが、財務省はホームページで「令和3年度は2億枚の発行を予定しており、今後、徐々に流通量が増加していく見込み」と発表している。 新硬貨、または紙幣が発行されるたびに少なからず負担を強いられるのが、長らくコインオペレーションを基本とするゲームセンターだ。なぜかと言えば、店舗の必需品である両替機やメダル貸出機、あるいは各種ゲーム機に備え付けられたコインセレクター(硬貨選別機)や紙幣識別機を交換する必要があるからだ。 しかも現在はコロナ禍のため、どこのオペレーター(ゲームセンター経営会社)も経営状況は総じて厳しい。筆者が見て回った限りでは、3月になってから新コインセレクターを導入した店舗が散見されるようになったが、いまだに導入していない所も非常に多い印象を受ける。 オペレーターには最悪と言っても過言ではないであ
初のAppleシリコン「M1」を搭載したMac製品の性能は高く評価され、売れ行きも好調と見られています。このAppleシリコンの基盤であるARMアーキテクチャにAppleがいつ頃から取り組み始めたのか、そしてM1 Macの性能がなぜ優れているのかについて、Appleの元エンジニアがツイートしています。 AppleはISA設計のためにARMと提携した 元Appleのカーネルエンジニアであるシャック・ロン氏がTwitterで、M1チップについて語っています。 会話のきっかけとなったのは「M1が高性能なのはARMとはまったく無関係だ。優れているのはキャッシュだ」という投稿です。ロン氏はこの投稿に異論を唱えるとともに、その理由を説明しています。 「この前提は間違っている。ARM64はAppleの命令セットアーキテクチャ(ISA)であり、Appleのマイクロアーキテクチャプランを実現するものだ。Ap
2020年以降に爆発的に増えているRISC-Vコアの数。ただし、2025年までに600億個というSemico Researchが出した本資料の数字はさすがに無茶な推定だとは思う 米中貿易摩擦の結果、中国の半導体企業がRISC-Vに傾注 2016年後半あたりから、RISC-V FoundationのFoundation Memberは相次いでRISC-Vのコアの開発やRISC-V向けのソフトウェアなどの開発を手がけているが、先にRISC-Vに傾倒し始めたのは中国であった。 中国と米国は2015年頃から不協和音が出ていた。ただオバマ政権時はあまり強硬な手段を取らなかったこともあり、それほど大きな問題にはならなかった。しかし、2017年にトランプ政権に変わり、デカップリング政策を取ったことで急速に関係が悪化する。 BIS(米商務省産業安全保障局)は、特定技術を利用した製品の輸出や移転をする際に認
かつて「漢江の奇跡」とまで言われた韓国経済の失速が著しい。製造業への依存や財閥支配といった過去の成長モデルから脱却できないからだと、英経済紙「フィナンシャル・タイムズ」が報じている。そんななか、韓国政府はAI特需を見込んでソウル郊外に巨大な半導体集積地を築こうとしてるが……。 世界最大規模の半導体クラスター ソウルから南に40キロ離れた龍仁(ヨンイン)市郊外では、韓国の大統領が世界的な「半導体戦争」と呼ぶ状況に備えて、無数の掘削機が準備を進めている。 掘削機は1日に4万立方メートルもの土砂を運びだし、山を真っ二つに切り崩しながら、新たな半導体クラスター(集積地)の土台を築いている。その一角には、世界最大規模の3階建て製造工場も建設される予定だ。 半導体メーカーのSKハイニックスが910億ドル(約14兆円)を投じて建設したこの1000エーカーの製造拠点は、サムスン電子による300兆ウォン(約
分解スタート調査会社のフォーマルハウト・テクノ・ソリューションズ(東京・中央)の協力を得て、アップルが米国で2月2日に発売したビジョンプロを分解した。実機を分解する過程に沿ってビジョンプロに使われている部品を調べていく。部品配置や性能の検証を通じ、カギを握るデバイスを掘り下げる。 目を映すディスプレーは原価1.8万円ガラスカバーを外すと、ゴーグルを覆う有機ELディスプレーが現れた。ここにユーザーの「両目」が映る。使用中でもまわりの人とコミュニケーションを取りやすくするためのアップル独自の仕組みだ。ディスプレーは立体的な形で、表面に凹凸の細かいレンズがついている。フォーマルハウトは原価を約1万8000円と推定する。 外界つかむセンサー・カメラ前面にはゴーグル周囲の様子を読み取る多くのカメラ、センサーが搭載されている。左右に一対のメインカメラに加え、奥行きを測る3Dカメラも一対。中央にあるのは
アジャイルプラクティスガイドブック チームで成果を出すための開発技術の実践知 チーム・組織にプラクティスを導入し、根付かせるために! 116の手法を一冊にまとめた“実践”の手引き チームでのアジャイル開発には、開発技術やツールなどの「技術プラクティス」の活用が重要です。 プラクティスはそれぞれの目的や役割を意識することで効果を発揮します。しかし、目まぐるしく状況が変化する開発では、当初の目的を忘れて、プラクティスに取り組むこと自体が目的化してしまうチームも少なくありません。 本書は、チーム・組織でアジャイル開発に取り組んできた著者が、プラクティスの効果的な選択・活用のしかたについて、自らの実践経験に基づいてまとめたガイドブックです。 架空の開発現場を舞台にしたマンガとともに、チーム開発の様々なシーンで役立てられるプラクティスを、幅広くかつわかりやすく解説しています。開発現場に備えておけば、
日本政府が、半導体製造に使われる化学製品の韓国向け輸出手続きを厳格化すると発表しました。徴用工問題で具体的な対応を取らない韓国政府に対する事実上の対抗措置です。菅義偉官房長官は「対抗措置ではない」と強弁していますが、真に受ける人などいません。 知日派の韓国人大学教授からは「はっきり嫌がらせだと言えばいいのに」という感想を聞きました。それは、今回の措置が「嫌がらせ」レベルにしかならないという嫌みでもあります。日本政府の措置は、長期的にはブーメラン効果で日本企業に痛みを強いる愚策だからです。 今回の措置には多くの問題点があります。整理してみると▽自由貿易を主張してきた日本の国際的信頼の低下▽国際的な半導体供給への悪影響▽大口顧客である韓国企業への輸出が減る日本企業の被害▽韓国が代替品の調達・開発を進め、結果的に日本企業の国際競争力が損なわれるだろうこと――があります。韓国がすぐにギブアップして
(湯之上 隆:技術経営コンサルタント、微細加工研究所所長) 2月24日にTSMC熊本工場が開所式 2021年10月に発表されたTSMC熊本工場の開所式が今年2024年2月24日に行われる(日本経済新聞、2023年12月11日)。この工場では今年末までに、12インチのシリコンウエハで月産5.5万枚の規模で、28/22~16/12nmのロジック半導体が生産されることになっている。総工費は86億ドルで、その約半分の4760億円を日本が補助金として支出する。 また、前掲の日経新聞には、6nmの先端半導体を生産する第2工場が計画されていることも記載されている。この第2工場は、今年4月に建設着工し、来年2025年に建屋が完成、翌2026年末までに生産が開始される見通しである。そして、日本からは7500億~9000億円もの補助金が支出されると報道されている。ということは、TSMC熊本工場には、合計で1.
ICを一切使わず、MOSFET(金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ)とLEDを含むダイオードだけで構成されたフルディスクリートの「CPU1738」が、ロボットのシャーシと合体し、自動で方向転換して走り回るムービーがTwitterで評判となっています。 トランジスタを1738個はんだ付けしてCPUをまるごと作る地獄のキットを買われた方がいるようです.ありがとうございます! 自分が試作したときは7日間かかりました(他の仕事を何もしない場合). ぜひロボット部分のシャーシも組み立てて「走り回るCPU」を作ってください.https://t.co/wKYtabGXHO pic.twitter.com/2X6WYbc1mp— リニア・テック 別府 伸耕 (@linear_tec) このツイートはリニア・テック代表の別府伸耕さんによるもの。ツイートにもあるように、「CPU1738」を自作するキットを購
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