岸田文雄首相は5年間で総額約43兆円とする防衛費の大幅拡大を目指し、そのための財源確保法案が現在国会で審議されている。台湾有事のリスクの高まりが指摘されているが、自衛隊はそのとき何をできるのだろうか。英誌「エコノミスト」が解説する。 日本は台湾有事に参戦するのか 青森の三沢基地上空では、日本のF-35戦闘機のすさまじい轟音が鳴り響く。日米両軍が共同使用する同基地では、両軍のパイロットが合同訓練をしていた。台湾をめぐる中国との戦争のリスクが高まる今、こうした準備の必要性が高まっている。 日本は2027年までに防衛予算を倍増させ、長距離ミサイルを取得して自衛隊を強化する予定だ。しかし、1945年以降、日本が戦場で発砲したことは一度もない。日本は本当に戦うのだろうか。 日本は地理的には最前線に位置している。最西の与那国島は台湾からわずか111kmしか離れていない。日本が台湾有事で参戦すると中国が
中国による台湾への軍事的圧力が増す中、自民党の外交部会などは台湾有事に備えて同盟国との具体的な連携のシミュレーションや現地在住の日本人の退避方法などを検討するよう求める提言を取りまとめました。 自民党の外交部会や外交調査会は中国による台湾への軍事的経済的圧力が苛烈さを増しているとして、政府に対応を求める提言を取りまとめました。 それによりますと中国による台湾への侵攻は日本の安全保障に直結する事態だと指摘し、台湾有事に備えて同盟国と具体的な連携のシミュレーションを行うとともに現地に在住する日本人の退避方法などに万全を期すよう求めています。 また台湾との関係強化に向けて双方の閣僚や中央省庁職員の往来をより活発化させるための施策や日本が確保した新型コロナウイルスのワクチンの提供、それに再生可能エネルギーなど新興技術に関する相互協力を検討すべきだとしています。 このほか台湾の国際的な枠組みへの加入
「食料安全保障」に注目が集まっている。ロシアのウクライナ侵攻で穀物価格が高騰し、新型コロナウイルス禍で食品の物流網が混乱している。食料や農業問題に詳しいキヤノングローバル戦略研究所の山下一仁研究主幹は「もし台湾有事となれば、日本人の半数が餓死する可能性だってある」と指摘。「日本の食料安全保障を危機に陥れているのは農政だ」と訴える。【聞き手・宇田川恵】 ウクライナ侵攻の影響は限定的だが… ――ロシアのウクライナ侵攻は日本の食に影響しますか。 ◆ウクライナやロシアは小麦の主要産地であり、輸出がストップすれば世界的に小麦価格が上がり、他の穀物にも影響する。ただ、両地域の小麦の品質は高いとはいえず、価格も安価なので、主に中東や北アフリカ向けに輸出されている。こうした地域の所得の低い人たちは主食の小麦が買えなくなる。すでに一部で混乱が起きているが、飢餓を含め、大変な影響が出るだろう。 しかし、日本へ
日本の海底ケーブルは網の目状に海外とつながっている(注:2022年1月12日時点、出所:submarinecablemap.com) 現在、インターネットを含む国際通信の約99%は、海底ケーブルを使って行われており、通信衛星による国際通信は1%にも満たない。クラウドサービスの多くの情報基盤を、海底ケーブルでつながる米国に依存している日本は、海底ケーブルの切断によって、甚大な損害を被ることは間違いない。 SNS(交流サイト)のツイッターやインスタグラム、動画サイトのユーチューブは、海底ケーブルを使って米国のデータセンターとつながり国内にサービスを提供している。また、従来の国際電話や、国際間でドルをはじめとした資金決済に用いられるSWIFT(国際銀行間通信協会)のネットワーク、航空券の予約システムも海底ケーブルを使う。そうしたなか、台湾有事が起きた際に、日本から海外に延びている複数の海底ケーブ
「そう遠からず日中戦争が勃発する」「経済は即死状態、餓死者・戦死者も多数」...台湾有事の「瀬戸際」にいる日本と明らかになった「アメリカの限界」 これから何が起こるのか、過去から何が学べるのか。説明抜きでタモリが言った言葉は、時代の空気を掬っていたからこそ話題となった。終戦から78年のこの夏、私たちの地点を見つめ直す試みとしての特別対談。 2つめの記事『日本には新しい「民間主導の戦争論」が必要だ...「右派も左派も理屈がおかしく、いつまでもまともな安全保障を議論しない」日本社会の問題点』より続く。 保坂正康(ほさか・まさやす)/1939年北海道生まれ。ノンフィクション作家。同志社大学文学部卒。『東條英機と天皇の時代』『昭和の怪物 七つの謎』『ナショナリズムの昭和』ほか著書多数 白井聡(しらい・さとし)/1977年東京都生まれ。政治学、社会思想研究者。京都精華大学国際文化学部准教授。著書『永
自民党の安倍元総理大臣が講演で「台湾有事は日本有事であり、日米同盟の有事でもある」などと発言したことに対し、中国外務省は「極めて誤った発言だ」として、1日夜、北京駐在の垂秀夫大使を呼んで抗議しました。 これに対して、垂大使は「一方的な主張は受け入れられない」と反論しました。 自民党の安倍元総理大臣は1日、台湾の民間の研究機関が開いたオンラインでの会合で講演し「台湾有事は日本有事であり、日米同盟の有事でもある。この点の認識を、習近平国家主席は断じて見誤るべきではない」などと指摘しました。 中国外務省によりますと、1日夜、華春瑩次官補が北京駐在の垂秀夫大使を呼び、安倍氏の発言に抗議しました。 華次官補は「安倍元総理大臣の台湾問題をめぐる極めて誤った発言は、中国の内政に乱暴に干渉し、中国の主権を公然と挑発している。断固として反対する」などと述べたということです。 一方、北京の日本大使館によります
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