数学愛好家が﹁聖地﹂と呼ぶ書店が東京・神保町にある。コーナーを担当する書店員の布川路子さんは、短大の国文科卒で、配属されるまで数学には縁がなかった。なぜ﹁聖地﹂を築きあげることができたのか。ノンフィクションライターの神田憲行さんが取材した――。 担当になった時には全くの素人だった ここ10年ほどの間、﹁数学ブーム﹂だといわれて久しい。複数の大人向けの数学塾が開校したり、大がかりな数学イベントも開催されたりした。その動向はNHK番組﹁クローズアップ現代﹂でも特集されている。 書籍でもタイトルに﹁文系でもわかる﹂﹁大人の学び直し﹂とついた数学書が書店に並び、数学をテーマにした漫画の刊行も相次ぐ。そんな﹁数学愛好者﹂﹁数学好き﹂たちから﹁聖地﹂と呼ばれるのが、東京・神田神保町にある﹁書泉グランデ﹂だ。4階の数学書コーナーを担当する書店員の布川路子ふかわ みちこさんは、愛好家たちにはおなじみの存在