アメリカ合衆国において、高病原性鳥インフルエンザウイルスA(H5N1)が拡大しており、ヒトでの感染例は3例発生しています。 このうち2例は乳牛からヒトに感染したと考えられる事例です。 高病原性鳥インフルエンザウイルスA(H5N1)についての基本的な知識と現在のアメリカの状況についてまとめました。 インフルエンザの種類と宿主の関係堀本泰介.インフルエンザ 2019; 20: 88より筆者作成 インフルエンザウイルスには、A、B、C、Dの4つの型があります。この中でB型とC型のインフルエンザウイルスは、一部に例外はあるものの基本的にヒトにのみ感染を起こします(D型についてはまだ分かっていないことが多いです)。 A型はウイルス表面上のヘマグルチニン(赤血球凝集素 HA:haemagglutinin)とノイラミニダーゼ(NA:neuraminidase)の違い、その組み合わせによってH7N9, H
2023年11月21日(火)に中国の北京や遼寧省の肺炎が流行しており小児病院が患者で溢れかえっている、と現地のメディアが報道しました。 この報道は国際感染症学会(ISID)のメーリングリストであるPromedでも紹介されていました。 この報道の中では、受診者の家族による「多くの人が入院しています。咳も出ないし、症状もない。ただ高熱があるだけで、多くは肺結節を発症しています」というコメントや、教師も感染しているということも紹介されています。 しかし、肝心のこの肺炎の病原体についての情報は述べられていません。 11月22日には、WHO(世界保健機関)から中国に正式に情報提供を求めたという声明がHPに掲載されました。 この中国の北京や遼寧省で起こっている小児の肺炎のアウトブレイクの原因は何なのでしょうか? 「まさか、またSARS(重症急性呼吸器症候群)やCOVID-19(新型コロナウイルス感染症
「BA.2.86系統」という変異株が検出される国が増えてきており、日本国内でも2023年9月7日に初症例が報告されました。 この新しい変異株「BA.2.86系統」はどういった特徴があり、どのようなことが懸念されるのでしょうか? すでに世界14カ国で100例以上が報告されているBA.2.86系統が検出されている国(GISAIDより) 「BA.2.86系統」は、「BA.2」という2022年に流行したオミクロン株から派生したものです。 現在、世界中で主流になっているのはXBB系統と呼ばれる組替え体から派生したものですので、それとは異なる変異株ということになります(いずれも同じオミクロン株系統ではあります)。 2023年9月9日までに14カ国(イスラエル、デンマーク、アメリカ、イギリス、南アフリカ、ポルトガル、スウェーデン、カナダ、フランス、スペイン、オーストラリア、韓国、日本、タイ)で100例以
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く