楽天よりPCR検査キットが販売開始となりました。 このキットを用いることで、病院を受診することなくPCR検査が施行可能とのことです。 しかし、PCR検査は医療従事者によって正しい方法で検体を採取し、正しく結果を解釈せねばなりません。 筆者は感染症専門医ですが、一般の方がこのPCR検査キットを使用することは推奨しません。 楽天から販売されているPCR検査キットとは4月20日より楽天でPCR検査キットが販売開始になっています。 新型コロナウイルスPCR検査キット COVID-19 PCR 「本検査キットは、ジェネシスヘルスケア株式会社が開発し、楽天株式会社が法人窓口となりサービスを提供しています。」とのことです。 4月21日21時時点でホームページには「現在、大変多くのお申込みをいただいており、順次ご対応をさせていただいております。ご回答にお時間がかかる場合がございますが、何卒ご容赦いただきま
新型コロナウイルス感染症が流行して以降、屋内ではマスクを着用することが一般的になっています。 これに関して、これまでは科学的な根拠が十分ではありませんでしたが、徐々にそのエビデンスが増えてきました。 なぜ症状がない人もマスクを着けるべきなのかインフルエンザなどの「発症した後から周囲に感染させる」呼吸器感染症とは異なり、新型コロナは発症する前の無症状のときから人にうつしていることが明らかになってきました。 インフルエンザと新型コロナの発症前後の感染性の違い(https://doi.org/10.1038/s41591-020-0869-5より作成)このように新型コロナウイルス感染症では、発症前に感染性のピークがあり、発症前の無症状の時期から周囲にうつしているというデータが集積してきました。 これがほとんど無視できる量であれば良いのですが、新型コロナの感染伝播の総量を100とすると、この発症前
新型コロナは発症の2~3日前に感染性のピークがあることが明らかになってきています。 これらのデータを踏まえて、無症状者であってもマスクをつけた方が良いのでしょうか? 濃厚接触者の定義が変更に先日濃厚接触者の定義が変わったことがニュースになりました。 「発症2日前」「1メートル内」「15分以上」=濃厚接触者の定義変更―感染研 これまで濃厚接触者の対象が「発症日以降」だったのが「発症2日前」に変更になっています。 ある人が新型コロナウイルス感染症と診断された場合に「その人が発症した日からさかのぼって2日前までに、目安として1m以内にマスクなしで15分以上会話をするなどの接触をした人」が濃厚接触者と定義されます。 これはつまり、新型コロナは発症する前から人に感染させうることを意味します。 発症前から人にうつすとはどういうことなのか「8割おじさん」こと北海道大学 西浦博先生は、新型コロナの流行早期
先日、緊急事態宣言が延長されるにあたって専門家会議から「新しい生活様式」に関する提言が出ました。 新しい生活様式の実践例(新型コロナウイルス感染症対策専門家会議 「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言」(2020年5月4日)より)個人的に驚いたのは「外出時、屋内にいるときや会話をするときは、症状がなくてもマスクを着用」と書かれていたことです。 筆者も「症状がない人もマスクをつけるべきか?」で無症状でもマスクを着用することの意義を解説しましたが、専門家会議もかなり思い切った提言を出したと感じました(なおWHOは今も「マスク着用は有症状者のみ」と推奨しています)。 前回に引き続き無症状であってもマスクを着用する意義について、もう少し踏み込んで書きたいと思います。 新型コロナの感染性のピークは「発症2日前」前回からの繰り返しになりますが、新型コロナウイルス感染症は発症前から感染性がありま
ヨーロッパ諸国では第2波を迎えており、第1波を大きく超える感染者数を記録しています。 一方、日本も徐々に新規感染者が増加に転じており、これから冬を迎えるに当たって今一度感染対策を見直す時期に来ています。 ヨーロッパでは第2波を迎え、多くの国で再びロックダウンに日本とヨーロッパ諸国の新型コロナ患者数の推移(Our World in Dataより)すでに報じられている通り、ヨーロッパ各国は新型コロナの第2波を迎えており、第1波の規模を大きく超える感染者が出ています。 ドイツ、スペイン、イギリス、イタリア、フランスでは連日1万人を超える感染者が報告されています。 ヨーロッパ諸国の新型コロナ患者の流行状況(ECDCより)人口あたりで見ると、他のヨーロッパ諸国も非常に多くの感染者が出ていることが分かります。 フランス、スペイン、イタリア、ドイツ、ベルギーなどで外出禁止などの措置が取られています。 日
新型コロナウイルス感染症の後遺症が注目されています。 新型コロナに感染した後に、倦怠感や胸痛、脱毛、記憶障害など様々な症状が持続することが報告されています。 新型コロナの後遺症はどれくらいの頻度で起こり、どのような症状があるのでしょうか? 新型コロナの一般的な回復過程は?流行当初の中国からのデータでは、新型コロナウイルス感染症は8割が軽症、約14%が中等症(酸素投与・入院が必要)、約5%が重症(人工呼吸管理など集中治療が必要)とされます。 そして中国からの報告では、持病や年齢によってばらつきはあるものの、軽症では約2週間、中等症・重症では約3〜6週間くらいで回復していくとも言われていました。 しかし、アメリカの新型コロナ患者350人を対象とした調査では、診断後14から21日までに元の健康状態に戻った人は軽症患者の64%と入院(中等症以上)患者の39%であったとされ、中国で言われていたよりも
マスク着用によって新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐ効果が徐々に示されてきていますが、感染予防だけでなく「重症化を防ぐ」効果もあるのではないかという仮説が注目されています。 マスクを着けると新型コロナの重症度が下がる?世界的な医学誌であるNew England Journal of Medicineに興味深い論説が掲載されました。 この「Facial Masking for Covid-19 - Potential for “Variolation” as We Await a Vaccine(新型コロナに対するマスク着用- ワクチンを待つまでの「種痘」の可能性)」というタイトルの論説は、マスク着用による重症化予防効果の可能性について紹介しています。 マスク着用による新型コロナへの効果については、私も過去数回に渡ってご紹介しています。 しかし、これらはすべて「感染そのものを防ぐ」効果を紹介
7月22日よりGo To トラベルキャンペーンが開始となりました。 それと前後して、東京を中心に新型コロナが増加し続け、現在は全国で症例数増加が止められない状況になっています。 海外では国内旅行が新型コロナの感染拡大のリスクとなることが複数の研究から明らかになっており、このキャンペーンによってさらに感染が拡大することが懸念されます。 安全に旅行を楽しむためにはどういったことに気をつければ良いのでしょうか。 そもそも旅行は感染症のリスクそもそも旅行に感染症はつきものであり「旅行医学 Travel Medicine」という学問の中でも感染症は大きな部分を占めています。 また医師にとって、発熱している患者さんに旅行歴を聞くのは基本中の基本でもあります。 途上国に1ヶ月滞在した場合の健康問題(J Travel Med. 2008 May-Jun;15(3):145-6.より)海外旅行を例に挙げれば
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く