やさしい色合いとタッチで戦時中の日常を描いたアニメ映画「この世界の片隅に」を手がけた片渕須直監督(60)が、東京都美術館(上野)で開催中の「没後70年 吉田博展」を鑑賞した。吉田の木版画とアニメーションの表現方法に共通性を感じるという片渕監督。光や水面の一瞬の移ろいを捉え、見事に昇華させた作品の数々に「人の目や心の底知れない力に驚いた」と感嘆。後日、感想を寄稿してもらった。 以下は、展覧会を鑑賞した片渕監督の寄稿全文。 ◇ 私たちが手がけるアニメーションの絵は、輪郭線で囲まれた面にベタに色を塗って描く点で版画と共通しています。 元々は江戸時代の浮世絵がヨーロッパに流出してジャポニスム(日本趣味)を作り出し、ミュシャのようなアールヌーボーを経由して、20世紀初頭に新聞漫画となりました。それがアニメーションの画風の基盤になったといわれています。吉田博の版画を見て感じたのは、欧米の絵画から影響を
『この世界の片隅に』片渕須直監督の次回作を制作する新会社「コントレール」設立 「愛情を掛け手間暇を惜しまず末永く愛される作品を作りたい」 アニメーション制作会社として、株式会社コントレールが9月2日に設立されたことが発表となった。 コントレールは、片渕須直監督の長編映画を制作するためのスタジオとして立ち上げられたアニメーションの制作会社。片渕監督が名付けた社名の「コントレール」とは “ひこうき雲”のことで、天色の空に、長く永く筋を引く白雲をイメージしているという。 「多くの人に、末永く愛されるアニメーション作品を作りたい。」 この思いを胸に、沢山の愛情を掛け、手間暇を惜しまぬ作品制作を行っていきたい、としている。また、2020年1月上旬からは、作画スタッフ・制作スタッフなどの人材を幅広く募集していくとのこと。 ■会社概要 会社名:株式会社コントレール / CONTRAIL Co.,LTDs
展覧会「柏飛行場と秋水 - 柏の葉 1945-2020」関連映像です。航空機設計者、木村秀政さんが柏飛行場で撮影した写真のカラー化を渡邉英徳さんに依頼し、片渕須直さんに監修していただきました。以下のテキストは、上記映像の補足、みたいなものです。 2020年11月19日、杉並区の事務所で片渕須直監督にお会いした。 片渕監督の映画には、私達を過去に連れていき、その世界のなかに放り込む力がある。「この世界の片隅に」を劇場で見るとき、私達は最初は劇場の椅子に座っている。しかし、予告編がはじまり、幼少期のすずさんを見ているうちに私達は広島・本川のうえをゆったり進む船の上にいる。そして元柳町の雁木から陸に上がった時には、年末の広島の街のなかに放り込まれてしまう。私達がいる街は昭和8年年末の中島本通りそのものであり、驚くべきことにそこにある玩具店、呉服店、理容室、洋服生地屋は当時そこに存在し、その日の天
第96回アカデミー賞長編ドキュメンタリー映画賞受賞『マリウポリの20日間』が4月26日(金)に公開される。公開に合わせて本作の監督・脚本・製作・撮影を務めたミスティスラフ・チェルノフ監督から戦場の惨状を告白する<STATEMENT(声明文)>が届いた。また、『福田村事件』の森達也監督ら著名人総勢11名からコメントが到着した。 命がけで撮影を敢行、決死の脱出劇の末に世界へと発信された奇跡の記録映像2022年2月、ロシアがウクライナ東部に位置するマリウポリへの侵攻を開始。これを察知したAP通信のウクライナ人記者であるミスティスラフ・チェルノフは、仲間とともに現地に向かった。ロシア軍の容赦のない攻撃による断水、食料供給や通信の遮断…。瞬く間にマリウポリは孤立していく。 海外メディアが次々と脱出していく中、彼らはロシア軍に包囲された市内に残り、死にゆく子供たちや遺体の山、産院への爆撃など、侵攻する
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