数学における普遍性の概念は、どういうものなのか一言で説明しにくいものだけど、圏論では普遍射を使って定義するのが普通。 と思ったら、『ベーシック圏論』は副題(訳書での追加?)が「普遍性からの速習コース」だけど、本文中に普遍射という言葉がそもそも出てこない。普遍元は出てくるけど、これも脇役的な扱いという感じがする。 目次: 普遍性と普遍射の説明 n次元ベクトル空間に関する普遍性 普遍射 内側からの特徴付け、外側からの特徴付け 普遍性の定式化 例: 集合の直和とベクトル空間の直和 集合の直和 ベクトル空間の直和 直和の持つ普遍性 圏論的な定式化 直積 例: 商集合 商集合の作り方 商集合の持つ普遍性 普遍要素による定式化 例: 核(カーネル)と余核(コカーネル) 例: ベキ集合 例: 像(イメージ) 普遍射を使わない定式化と表現可能関手 1. 普遍性と普遍射の説明 1.1. n次元ベクトル空間に