アマ将棋のトップとして出場したプロの公式戦で好成績を挙げたことにより棋士への編入試験資格を獲得、昨年11月から四段の棋士5人と1人ずつ対局していくという棋士編入試験を受けていた小山怜央さん(29)が、3勝1敗の成績で合格を決めた。奨励会未経験者の合格は現行制度では初めてだ。 試験中に感じた不安や苦しさ、試験と並行して行われA級の広瀬章人八段と対戦した朝日杯、将棋に専念したここ2年の勉強の成果について聞いてみた。 小山怜央(こやま・れお) 1993年7月2日岩手県釜石市生まれ。中3の奨励会試験、岩手県立大学ソフトウェア情報学部休学中の奨励会三段リーグ編入試験と2回不合格だった経験がある。アマチュアトップとして活躍していた2021年4月に勤めていた会社を退職し、棋士編入試験の資格獲得と合格して棋士になることを目指し将棋に専念するという決断をした。 アマ大会上位者に与えられるプロ公式戦出場15回
渡辺明名人(右)に挑戦する藤井聡太竜王 ©文藝春秋 鍛えの入った精神力を持つ渡辺にとってすら… 渡辺明名人に藤井聡太竜王が挑戦する第81期名人戦七番勝負第5局は、5月31日~6月1日にかけて、長野県上高井郡高山村「緑霞山宿 藤井荘」で行われた。標高800メートル以上、200年以上の歴史ある旅館だ。 藤井は、数年前にこの藤井荘の方から手紙をもらったことをきっかけに、家族で長野電鉄に乗って泊まりにきたことがあるそうだ。長野電鉄の話になったとき、私に見せた藤井の明るい表情は印象に残っている。 名人戦はここまで渡辺の1勝3敗。七番勝負のカド番を先手でしのぐのか。あるいは挑戦者の藤井が史上最年少で名人を奪取するのか。将棋界はもちろん、社会的にも非常に大きな注目を集める一局となった。世相は「藤井持ち」を隠さない。鍛えの入った精神力を持つ渡辺にとってすら、圧力のかかる対局だろう。
第35期竜王戦第1局、振り駒で先手となった広瀬章人八段は角換わりを選択。タイトル戦ではもっとも多い戦型で、藤井聡太竜王は豊島将之九段との王位戦七番勝負全5局も角換わりだった。 しかし開始から数分して、藤井が動かなくなる。藤井がタイトル戦で序盤早々10分以上も考えるのはこれが初めてである。なぜ考えたのか? それは広瀬が藤井に勝つために、ある作戦を用意してきたからだった……。 その名は「飛車先保留」。 「保留型」を流行戦法に仕上げた谷川浩司十七世名人 角換わり腰掛け銀の歴史は昭和までさかのぼる。 昭和初期の大名人、木村義雄十四世名人(1905-1986)は角換わり腰掛け銀を得意とし、「木村定跡」と呼ばれるようになる定跡を残した。また升田幸三、塚田正夫、丸田祐三といったその時代の棋士達も定跡を創り上げた。 だが腰掛け銀はその後ゆき詰まる。後手が桂を跳ねずにガードを固め専守防衛にしてきたときには、
初タイトル戦はフルセットで敗れた屋敷伸之だが、1年もしないうちに再びタイトル戦の舞台に登場した。18歳の夏に迎えた2回目の番勝負は苦しいスタートだったものの、『笑っていいとも!』が好手を見つけるきっかけになったのかもしれない。 インタビュー後編は、高校卒業直後にタイトルを獲得して戸惑ったこと、藤井聡太七段について語ってもらった。 【全2回/#1を読む】 ◆◆◆ 高校卒業直後、18歳で再びタイトル挑戦 ――1989年後期の棋聖戦は敗退しましたが、1990年前期の棋聖戦でも挑戦権を獲得されました。先の五番勝負を終えてからわずか4カ月後のことです。 屋敷 このときは本戦にシードされ、4勝すれば挑戦なのでチャンスはあるのかなと思いました。最後の塚田(泰明八段)先生との将棋は二転三転して、最後はトン死勝ちでしたね。なかなか詰みが見えなくて、少し気づきにくい筋だから塚田先生もうっかりされたと思うんです
文春オンラインでは、第5期叡王戦七番勝負全局の観戦レポートを掲載してきた。そんな「十番勝負」の名場面を写真とともに振りかえっていきたい(肩書き・段位などは対局時のもの)。 第1局(6月21日、伊豆今井浜温泉 今井荘、永瀬拓矢●ー豊島将之○) スクリーンを埋め尽くす「弾幕」が、ニコニコ生放送の将棋中継、そして叡王戦が戻ってきたことを感じさせる。緊急事態宣言中に“飢え”を感じていた観る将ファンにとっては、この上ない福音となったはずだ。 会場となった今井荘は、叡王戦のために貸切営業となり、対局室も十分な「ソーシャル・ディスタンス」を確保して設営された。ファンイベントや大盤解説もなく、いつもとは違った雰囲気の中で七番勝負が始まった。 永瀬の先手番で戦型は角換わり早繰り銀となり、序盤は両対局者が猛スピードで飛ばす。 ところで、永瀬は千日手が多い棋士としても知られている。将棋に対するストイックさから「
かつて人間とコンピュータが将棋盤を挟んで戦った時代があった。2012年から始まった「電王戦」が終了してから3年半が経ったが、もう10年以上も前だったかのような懐かしい気分になる。それほど将棋ソフトは盤上になじんだ。現在はプロ棋士より強いのは自明なこととして、将棋ソフトを取り入れて戦うのが当たり前になっている。 映画になるほど人々の記憶に残った 電王戦はレギュレーションを変更されながら行われ、メンバーを入れ替えて団体戦と個人戦が実施された。映画「AWAKE」は、棋士側が唯一勝ち越した2015年の将棋電王戦FINALの大将戦・阿久津主税(あくつ・ちから)八段-AWAKE戦をもとにしている。AWAKEを開発したのは、元奨励会員の巨瀬亮一(こせ・りょういち)さんだった。
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