待ちわびていたクエンティン・タランティーノ監督最新作「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」、公開日に立川極音レイトショーで観てまいりました。 といってもタランティーノ作品は「パルプ・フィクション」しか観たことがないわたし。何が楽しみだったってまずこのタイトルによるところが大きいのですが、わりとどうでもいい理由なので気になる奇特な方は「ワンス(中略)アメリカ」の感想記事からどうぞ。 ディレクターズカット版の感想もあります。 そして楽しみだったもうひとつ、かつ最大の理由は、めっちゃ予習したから。後述しますが本作は実際の事件を下敷きにした作品です。普段ならネットで調べておしまい、程度のところ、今回はTwitterのフォロワーさんの影響で関連書籍を3冊も読んで臨みました。予習の成果はいかほどか、自信のあるテスト前夜といったわくわく具合でした(そんな夜は経験したことがないけれど)。 という
広瀬八段が見る竜王戦の二人 ――10月から竜王戦七番勝負で豊島将之竜王に羽生善治九段が挑戦しています。羽生九段の「タイトル100期」がかかるだけに注目されています。広瀬八段は、このお二人と昨年と一昨年の竜王戦七番勝負で対戦しましたが、今年の竜王戦をどのように見ていますか。 広瀬 ベスト4の段階で羽生さんと近い世代の棋士が多く残りました。若手の梶浦さん(宏孝六段)の戦いも注目でしたが、貫禄というか力を見せて、羽生さんの挑戦となりました。ただ、羽生さんの世代のタイトル戦出場が減っていることは、ここ数年の変化ですし、注目するべき点だと思います。 ――年齢の壁や戦術の変化が大きいのでしょうか。 広瀬 どちらもありますね。戦術の面では、やはり将棋ソフトをみんなが使うようになりました。いつの時代もそうでしょうけど、年長者ほど現在の将棋に合わせるのは大変なのではないかと思います。サイクルの早い近年は特に
中井 あまりにも久しぶり過ぎて、タイトル戦がどんな感じだったか。前に挑戦したのがいつだったかも思い出せませんね(笑)。(注:2006年度の第33期女流名人戦以来) ――里見倉敷藤花とは、初のタイトル戦になりますね。 中井 里見さんは私の娘くらいの世代なので、今まで戦ってきた清水さん(市代女流七段)たちとのタイトル戦とは、違ったタイトル戦になるのかなという楽しみがあります。彼女と最後に当たったのは5年ほど前ですが、その頃からずっと里見さんはタイトルを持ち続けているので、こちらが勝ち上がらないと当たる機会がありません。挑戦まで勝ち上がるのも大変ですが、久しぶりのタイトル戦を、強い里見さんと楽しみながら指したいですね。 2010年7月29日、倉敷藤花戦で本田小百合女流三段(写真右)に勝ち、当時の女流棋士の新記録である18連勝を達成した ©️相崎修司 ――改めて、中井女流六段の棋歴についてうかがい
豊島将之竜王・叡王と藤井聡太王位・棋聖による夏のダブルタイトル戦、「十二番勝負」が現在進行中だ。ここまでの2人の対戦で、何を考え、どういう作戦をぶつけたのか、戦いを振り返ってみよう。まずは豊島のここまでの歩みを振り返ってみる。 「いぶし銀」師匠の薫陶 豊島の師匠の桐山清澄九段は、中原誠名人や私の師匠の石田和雄九段と同じ1947年生まれの73歳。居飛車も振り飛車も指しこなすオールラウンダーで、昭和を代表する名棋士だ。銀を使うのが得意で、派手ではなく渋い好手が多いので「いぶし銀」の異名を持つ。 1976年のA級順位戦の加藤一二三九段戦では、桐山は四間飛車で加藤の棒銀を破り、この将棋はそのまま定跡となった。それから24年後、2000年の藤井猛竜王対羽生善治五冠の竜王戦七番勝負第5局では同じ将棋になり、居飛車の羽生が50手目に工夫して勝っている。また居飛車横歩取りでも独自のアイディアを生み出し、桐
充実の2大特集! 『ハヤカワ・ミステリマガジン』2022年3月号 ●特集 映画「ナイル殺人事件」公開記念 観て読んで楽しむクリスティー 本邦初訳 幻の戯曲全文掲載「三人のペテン師」 ●特集 TVドラマ放送記念『ミステリと言う勿れ』 著者・田村由美メール・インタビュー 聞き手・廣澤吉泰 ミステリマガジンとは・・・ 1950年代から翻訳出版を手掛け、SFやミステリーの版元として有名な早川書房の発行するミステリ専門誌である(現在は隔月刊)。 1956年7月号として発行された前身である日本版『エラリイ・クイーンズ・ミステリ・マガジン』を、1966年1月号から『ハヤカワ・ミステリマガジン』に改名、現在に至る。 アガサ・クリスティと戯曲・・・ 「ミステリーの女王」ともいわれるアガサ・クリスティー(1890~1976)は、1920年に長編小説「スタイルズ荘の怪事件」でデビュー、その10年後の1930年に
先日公開したクエンティン・タランティーノの最新作、映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』。ブラッド・ピットとレオナルド・ディカプリオが初共演を果たし、チャールズ・マンソン率いる歴史的カルト集団「マンソン・ファミリー」の起こした事件をテーマに物語が繰り広げられる。本事件の真実を、ローリングストーン誌が映画のシーンに合わせて解説。 ※本稿には現在公開中(日本国内では2019年8月30日より公開)の映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』のネタバレが含まれるのでご注意。 クエンティン・タランティーノ監督による最新作『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』は、皆さんご存知の通り、マンソン・ファミリーの起こした殺人事件を事実に基づき正確に描いている訳ではない。『イングロリアス・バスターズ』や『ジャンゴ 繋がざれる者』に代表されるように、タランティーノ作品では特に驚く
太宰治『人間失格』感想・評価 時を越えて心に響く名作 こんばんは、M&Oです。 今回は太宰治の『人間失格』について書いていきたいと思います。 小栗旬さん主演で映画化されて(映画タイトルは『人間失格 太宰治と3人の女たち』)話題になっていた『人間失格』ですが、実は僕はこの映画を観ていません。 小栗旬さんはとても好きな俳優なので最初にこの映画の情報を聞いた時はかなりテンションが上がったのですが、映画館で観なかった要因は監督が蜷川実花さんだったからです。 完全に個人的な好みの問題になると思いますが、僕は蜷川実花さんが映画監督としては好きではないのです。 好きな人にはごめんなさいなのですが、画的なこだわりがあるのはいいのですがそればっかりになっているような印象をこれまで受けていたので、蜷川実花さんの監督作品は『他の監督で観たかったなぁ』と思う事ばかりでしたので、そんな経験から映画館では観なくていい
将棋界は才能に厳しい。小、中学生で奨励会に入り、原則26歳の年齢制限までに四段昇段を果たさなければ退会となる。棋士の成績上位者を見ればタイトル経験者や30歳前後までの強豪が多く、大器晩成型の実力者はまれだ。 今年3月、横山泰明七段がB級1組に昇級した。タイトルホルダーやA級経験者、登り竜の若手強豪がしのぎを削るリーグで、「鬼の住処」とも呼ばれる。横山七段のように40歳で到達したケースは珍しく、一緒に昇級したのは18歳の藤井聡太二冠(現竜王で四冠)と26歳の佐々木勇気七段だった。 横山七段は中央大学商学部に在学中、21歳でプロ入り。C級2組を参加12期目の34歳で突破してから、C級1組を2期、B級2組を4期とハイスピードで駆け上がってきた。12月26日は「SUNTORY 将棋オールスター 東西対抗戦2021」の東代表として臨む。
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◆ ◆ ◆ 大学将棋の「王座戦」といえば 換気のために開けた窓から入った風がブラインドを揺らす。東京大学将棋部の主将、伊藤蓮矢さんは将棋大会の会場でコートを着た。2020年12月6日、関東の7大学の将棋部が団体戦の全国大会「王座戦」の切符2枚を争うために集まった。 例年なら、もっと多くの大学が応援の部員も含めて集まるから、会場はごった返し、冬でも暑いくらいだ。今年は感染防止のため、出場校数も1校あたりの入場人数も厳しく制限され、「密」になっていない部屋は少し寒かった。 2020年12月6日にトリプルアイズ社で開かれた、王座戦の関東代表2校を決める大会「関東A級王座戦選抜トーナメント」の様子 ©️宮田聖子 「王座戦」というと将棋ファンは永瀬拓矢王座がタイトルを持つ、プロ棋戦を思い浮かべるだろう。しかし、大学将棋に関わった者にとって「王座戦」は、年末(今年は12月25~27日)に三重県四日市市
将棋界における師匠と弟子の関係性が注目を集めている。スポットライトが当たったのは、のちに将棋ペンクラブ大賞(文芸部門)を受賞した『師弟 棋士たち魂の伝承』(野澤亘伸著/光文社)の存在が大きかっただろうか。 現在、ABEMA将棋チャンネルでは「第1回ABEMA師弟トーナメント」が放送されている。そこで、同トーナメントにも出場している深浦康市九段と佐々木大地五段について、『師弟』から一部を抜粋して紹介する。 佐々木は命を懸けても棋士になる夢を叶えたかった 2006年秋の福岡空港。父親と一緒に現れた少年を見て、深浦康市は驚いた。年齢は11歳と聞いていた。細身だが背の高い少年は、がっしりとした父親と一緒に現れた。だが鼻からはチューブを通され酸素ボンベのような器具を引いている。聞けば心臓の病気を患っているという。空港内の喫茶店に入ると、父・靖美は息子のこれまでの経緯を深浦に話し始めた。 「息子は9歳
2015年9月、大学4年生だった小山怜央さんはアマチュア最高峰タイトルの1つ「アマ名人戦」で初タイトルを手にした。そこで得た権利として、「三段リーグ編入試験」に臨んだ。大学を休学して関東奨励会の例会に乗り込むと、場の空気はピリピリしていたという。 プロになるチャンスを逃し、一度は就職した 三段リーグ編入試験は、アマ名人、アマ竜王、アマ王将、朝日アマ、赤旗名人、支部名人の6大アマ大会で全国優勝し、1年以内に申請すれば受験することができる。 奨励会の例会に参加するかたちで、原則二段(初段の場合も)の会員と1日2局、最大2カ月で8局対戦して、6勝2敗以上で合格だ。棋士編入試験と違うのは、試験対局の相手となる奨励会員にとっても勝ち敗けが例会の成績としてカウントされること。13歳だった藤井聡太二段も、別のアマの編入試験の相手になって負け、その黒星が響いて三段リーグへの参加が半年遅れてしまった。受験者
2022年5月6日。 午前6時半、いつもより早めにセットしたアラームが鳴った。カーテンを開けて朝の光を部屋に取り込むと、大橋貴洸はベランダに出た。遠く空を眺めながら、風や温度を肌に感じた。 対局に向かう朝は、ゆっくりと時間を過ごす。朝食はパンやコーヒーなどを軽めに、それとチョコレートを一片食べた。それから、その日のフィーリングで着ていく服を決める。奨励会時代からスーツにこだわったのは、対局に向かう自分の気持ちを大切にしたいから。この日はグレーのジャケットと淡いピンクのスラックスをえらんだ。鮮やかな色は電車の中で視線を感じることもあるが、気にならない。 最後まで藤井が諦めたと感じた瞬間はなかった この日を楽しみにしていた。王座戦挑戦者決定トーナメント1回戦。対戦相手の藤井聡太五冠とは2年ぶりの対戦になる。前回は王座戦の2次予選決勝で対戦した。その時、藤井は初めてのタイトル戦で渡辺明棋聖(当時
1974年に女流棋士の第一号となり、初代女流名人、初代女流王将などタイトルを通算7期獲得した蛸島彰子女流六段。しかし、その道のりは平坦ではなかった――。 「女は将棋に向かない」「やっても無駄だ」という根強い神話があり、自分が負けると「だから女は」と言われてしまう。それでも挫けず盤に向かい、女性の仲間を増やしてきた。 女性の進出が早かった囲碁界 確かに将棋界において、男女の実力差は今現在、歴然としている。しかし、それはどうしてなのか。 「お隣」の囲碁界に目を転じると、男女の実力差はここまで開いていない。男女が同じ条件で戦い、待遇面も同等だ。 おそらく、これは歴史から来るのだろう。囲碁界における女性棋士の歴史は長い。幕末から脈々と女性棋士はおり、活躍してきた。囲碁界の運営にも関わり、発言権も強かったと聞く。 一方、将棋界では戦後生まれの蛸島彰子が第一号なのだ。女性たちの参入が、だいぶ遅れた。そ
こんにちは こんばんは 社長です ※この記事は全て です 元々は「小説家になろう」に投稿されてた様な内容をテンプレとした小説のジャンルである 「小説家になろう」は知ってる 誰でも小説を投稿できるんだよね 異世界に行きがち なろう系最大の特徴 目や耳に掠るなろう系はみ〜んな異世界行っちゃう あっち見ても異世界 こっち見ても異世界 そっち見ても異世界 どっち見ても異世界 もう、異世界の人達からしたら異世界から来たヤツで異世界が飽和状態 異世界物が流行ってるのって、「現実逃避の為」としか思えない 現実世界で 自分はこんなもんじゃない… こんなの現実じゃない… もっとスゴいんだ… なんて 不満を抱いてる人が異世界に理想を求めて旅立って行っているのだろう なろう系にどっぷりハマっても現実は変わらんぞ チートスキルで無双しがち 現実では対したことない主人公が 異世界行ったら実はチートでした〜 みたいな
1996年に四段昇段した近藤は、ゴキゲン中飛車を武器に戦ってきた。当時のデビュー連勝1位タイ記録となる10連勝で勢いに乗り、竜王戦6組ランキング戦で優勝。第29回(2001年度)に升田幸三賞を受賞する。2004年度(2004年4月~2005年3月)は37勝8敗(0.822)の好成績を残し、勝率第1位賞と連勝賞(14連勝)を受賞。順位戦はC級1組に昇級、朝日オープン将棋選手権でベスト8入りと大活躍した。2021年に六段昇段後公式戦150勝の規定を満たし、七段に昇段している。 いま思えば、近藤が若手のときは、棋士が人でいられた時代だった。ひとりで盤に向かって研究し、じっくりと新戦法を育てて生きていく。定跡を自分の手で地道に作っていく楽しみと誇りがあった。将棋ソフトが発達したいま、それはもう叶わない生き方だろう。 「力戦中飛車」といわれたゴキゲン中飛車は戦法の優秀性が認められ、ゼロ年代に大流行し
「前夜祭には300人集まっていただきまして、それだけの方に来ていただいたということで渡辺さんはテンションも上がっているように見えました。ファンの方に『お越し下さりありがとうございます』と感謝の言葉を述べていましたね。 対局初日は両対局者とも普段どおりでした」(深浦九段) すこし話がそれるが、深浦の弟子の佐々木大地七段が棋聖戦と王位戦でダブル挑戦者になったことが大きな話題となっている。私が叡王戦五番勝負第3局を見に、名古屋に赴いたとき、控室で深浦と藤井の師匠・杉本昌隆八段と一緒になった。深浦が「弟子が挑戦することになったので、よろしくお願いします」とメールを送り、杉本が「弟子のせいで仕事がなくなった仲間が増えて嬉しいです」と返信をした、という話をしていた。 タイトル戦の立会は八段以上の棋士が務めるが、弟子が出場する場合は立会も副立会もできない。深浦は棋王戦、王将戦、名人戦で立会を務めたが、棋
ディープラーニング系AIの導入 藤井については、さらに取材してわかったことを付け加えよう。 2020年、藤井は王将リーグで陥落が決まったあとの11月にグラフィックボードを買ってディープラーニング(DL)系の将棋AIを導入した。DL系の特徴は、人間の棋譜を一切使わずに学習するため、既存の将棋の感覚とかけ離れた指し方を序盤からしてくること。特に相掛かりの形勢判断が正確だと言われている。 令和3年版の将棋年鑑のインタビューでは「DL系のソフトを使って序盤の勉強を少ししているんですが、一般的にDL系のほうが評価関数(形勢判断)の精度は高いので序盤の勝ちやすい形を認識するのには適しているのかなと思います」と答えている。 私も直接彼に聞いたが、「DL系の将棋ソフトは既存(NNUE系)の将棋ソフトが互角とする局面でも+200点前後の点数を示す場合があるなど、序盤において勝ちやすい形を見出す力が優れていま
対局が決まると連絡を取らないのは、あうんの呼吸で ――三枚堂七段とは、同学年で仲良しと言われます。竜王戦では、互いに七段昇段をかけた2年前の3組準決勝でも当たっていますね。 八代 準決勝まで勝ち進んだことに加え、自分のみならず相手も七段昇段がかかった対局で、相手はライバルの1人だと思っている三枚堂君ですから、かなり意識して「絶対に負けちゃダメだ」と思いました。そこは勝って自分が先に七段昇段できたのですが、3組決勝では負けて本戦には出られませんでした。今期が初めての竜王戦本戦トーナメントです。 ――今期の竜王戦本戦トーナメントでは、初戦で八代―三枚堂戦になりました。そういう大きな対局の前、仲の良い関係は変化するのですか。 八代 三枚堂君と、再び竜王戦で大きな勝負になったのは運命的というか、より頑張ろうと思える相手との対局となり、ありがたいことだと思っています。自分が先に2組2位で本戦進出が決
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