だから、経済発展とは拡大ではなく、成長ですらないとシュンペーターはみなしている。現在われわれが経済成長と呼んでいるものは、ただの量的膨張か、あるいは長期の持続的成長と言っても、いわば樹木が自然に伸びていくようなものであり、経済的発展とは到底呼べない。経済発展とは、現在の経済市場と将来のそれに断絶があり、新しいものが前のものに取って代わるものなのである。 この考えに基づけば、現代のイノベーションが経済成長を生み出す、というのは間違っている。持続的な成長というのは、イノベーションではなく、ただの膨張なのである。 そして、シュンペーターは、この経済発展をもたらすプロセスを景気循環と呼んでいるのである。この循環によって、経済は好況、不況を経て、これまでの生産者、生産メカニズムが消滅し、新しい生産者と生産システムが経済を形作るのである。ここでの不況とは景気後退という短い一時的なものではなく、ひとつの
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