米半導体開発企業AMD︵アドバンスト・マイクロ・デバイセズ︶は長い歴史をもちながら、経営面で苦しみ、インテルやNVIDIA︵エヌビディア︶の後塵を拝する時期も長かった。だが近年の半導体需要の急増と、それに拍車をかける米中対立、辣腕CEO︵最高経営責任者︶の就任もあって、破綻の瀬戸際からよみがえり、半導体競争のダークホースになろうとしている。 カリフォルニア州サンタクララ。国道101号線が外を走るAMD本社の最上階にある会議室から、リサ・スーは﹁シリコンバレー﹂という言葉より歴史のあるこの会社の指揮を執っている。スーの執務室の窓から見えるのは、急速に進化を遂げる同社の節目を象徴するもの。古くからのライバル、インテルのオフィスだ。その時価総額︵1203億ドル︶をいまやAMD︵1535億ドル︶は上回っている。 AMDは、快進撃続きだったわけではない。現在53歳のスーが2014年にAMDのCEOと