福島第一原発での事故以来、私も含めてあまり一般の人たちに知られていなかった数々の問題点が見えて来たわけだが、一番注目すべきなのは、今回の事故の、そして事故後の政府と東電の対応のていたらくの諸悪の根源は東電でも管政権でもなく、霞ヶ関の官僚たちだ、という事実である。 そもそも日本の原発を中核においたエネルギー政策は、米ソの冷戦時代に、日本国民の﹁反核﹂感情が﹁反米→共産主義﹂という方向に傾きかけたとき、米国が﹁毒をもって毒を制す﹂と読売新聞の正力松太郎を利用して日本の世論をコントロールして無理矢理押し付けたもの︵参照︶。﹁保守=原発推進、革新=反原発﹂という日本特有の図式が作られたのもその時期だ。 最初は政治指導で原発を押し進めて来た霞ヶ関の官僚たちは、少しづつ﹁天下りの甘い罠﹂に陥り、電力業界と癒着し、星の数ほどの﹁天下りのための原発関連法人﹂を作り、﹁いまさら原発を辞めたら自分たちの将来が