クレムリンと並ぶ﹁モスクワの顔﹂として知られる国立ボリショイ劇場。その6年がかりの修復作業が終了し、10月28日に完成式典を迎える。工事は予想以上に長期化し、費用も膨らんだが﹁国家の威信﹂をかけて再開にこぎつけた。最先端技術を取り入れた﹁新生ボリショイ﹂は、世界のファンを魅了しそうだ。 ボリショイ劇場が最初に建設されたのは帝政時代の1780年。その後、火事で何度も焼失し、現在の劇場は1856年の建造。チャイコフスキーのバレエ﹁白鳥の湖﹂が初演された超名門だ。 だが、ソ連時代には共産党大会など芸術以外の目的に使われ、損傷部分はセメントやペンキで表面的に修繕されただけ。老朽化が進み、建設当初の豪華けんらんな美観は大きく失われた。05年、当時のプーチン大統領︵現首相︶は﹁モスクワの顔﹂を取り戻そうと、劇場を閉鎖して大規模修繕を開始した。 最大の目標は﹁古き良きロシア﹂をよみがえらせるオリジナルの