ノーベル経済学賞のインパクト 2017年度のノーベル賞が先日発表された。神経内科医師としては医学生理学賞︵体内時計の研究︶も気になるところだ。だが今年については、診療の現場にも直結するテーマは﹁ノーベル経済学賞﹂だった。 受賞したのは米シカゴ大学のリチャード・セイラー博士。﹁行動経済学﹂の業績が評価されたのだ。行動経済学は、心理学と経済学をつなぐ融合的学問で、理論や数式だけではなく実験と観察に基づいて、現実社会での人間のふるまいを理解する新しい研究分野である。 臨床医であるとともに﹁神経経済学︵ニューロエコノミクス︶﹂を研究する神経科学者の端くれである私としては、この分野が注目されるのはうれしいニュースだ。 セイラー博士の業績の最重要ポイント 行動経済学と診察室がどうつながるかを説明しよう。たとえば、あなたが診察室で医師から﹁肺がんなので、できるだけ早い手術が必要です﹂と告げられたとする。
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