﹁大学で教えています﹂。そう語ると、相手の視線は、高い確率で着ている服や腕時計に向かう。﹁ゆとりのある生活で、仕事も家庭も何の不自由もしていないはず﹂﹁子どもには高度な教育を受けさせているのだろう﹂。そんなふうに誤解されていると感じる。 関西の私立大で非常勤講師を務める佐倉努さん︵55︶=仮名。今年で14年目で、日本語教育の修士号を持つ。国立大でも契約を結んでいたが、2023年春に雇い止めされた。収入を補うため語学学校でも授業を持つ。 私大で週3日7コマ、語学学校で週2日計8コマを教える。﹁1コマ100分だとしたら、準備にはその2~3倍時間がかかるんです﹂。それでも実際に支払われるのはコマ数分の給与だけで、試験の採点や課題添削は﹁労働時間外﹂とされる。 年収は300万円台。国税庁の民間給与実態統計調査︵22年︶によると、55~59歳の平均給与は546万円、男性に限ると702万円だ。 家族は
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