﹁ここでクニマスを釣り上げ、びっくりしました﹂と話すさかなクン=8月、山梨県の西湖、中山写す ﹁絶滅﹂とされていた秋田県田沢湖のクニマスが、山梨県の西湖でみつかった。クニマスの絵を残したい――。そんな思いが、﹁奇跡﹂を引き寄せた。 70年前に絶滅したと信じられていたクニマスの再発見の立役者は、さかなクン︵東京海洋大客員准教授︶だった。 漁師と船に乗り、珍しい魚を見つけると、京都大総合博物館の中坊徹次教授に教えを請うていた。その中坊教授の部屋を訪ねたのは今年3月。﹁どう見てもクニマスじゃないかと思うんです﹂と保冷箱から2匹を取り出した。 中坊教授の表情が一瞬にして変わった。﹁なんやこれは!﹂。20センチほどの黒ずんだ体がオリーブ色に輝いていた。 長年、クニマスを研究してきた中坊教授は旧知の仲であるさかなクンに﹁クニマスを描いてほしい﹂と頼んでいた。現存する標本は約20匹。白か茶色に