﹁貧困ビジネス﹂論者には、僕は疑いをいつも抱いている。例えば﹁ネットカフェ難民﹂が利用するネットカフェ、コインロッカー、コインランドリー、ファーストフード、携帯サービス、100円ショップなどが﹁ネットカフェ難民﹂を貧困に滞留させる役割をしている元凶として糾弾する人たちがいる。彼らの議論の前提では、そもそもこれらの﹁貧困ビジネス﹂を利用している人たちが自由選択でサービスを享受しているか疑わしいと考えているようだ。 さて門倉さんの﹁貧困ビジネス﹂論は、上記のような疑わしい﹁貧困ビジネス﹂論とは一線を画すように工夫されている。なによりも門倉さんの長年にわたって蓄積された非合法ビジネスについての実証的考察が、本書を有益なものにしているといえるだろう。本書では﹁貧困ビジネス﹂を合法的ビジネス︵100円ショップなど前記したもの︶、グレーゾーン︵一部の﹁ゼロゼロ物件﹂、日雇い派遣労働者など︶、非合法︵ヤ
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