八雲町木彫り熊資料館の学芸員、大谷茂之さん︵33︶によると、町の木彫り熊の歴史は約95年前にさかのぼる。じゃがいもの栽培から酪農への転換期にあった八雲町は経済不況のあおりを受け、農民は貧しい暮らしを強いられていた。町にあった徳川農場の農場主で、毎年のようにこの地を訪れていた尾張徳川家第19代当主の徳川義親は、そんな農民の暮らしぶりを目にしていた。 義親は1921年︵大正10年︶から1922年(同11年)にかけ、夫人と旧婚旅行で欧州を旅行。たまたま立ち寄ったスイス・ベルンの土産物屋で、木彫りの熊に目が止まった。そこであることをひらめいた義親は、ほかの土産品とともにこの熊を数点、北海道に持ち帰ったという。 尾張徳川家19代当主の徳川義親 Yoshitaka Tokugawa 大谷さんによると、義親が木彫りの熊に目を付けた理由は2つあった。1つは冬の農閑期の副業として土産物を作り、現金収入につな
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