時速200キロ近い猛スピードで疾走する高級車から届いた悲痛な叫びが、運転席のフロアマットに潜む危険性を白日の下にさらけ出した。トヨタ自動車は、マットがずれてアクセルが戻らなくなる恐れから、同社にとって過去最大のリコール︵回収、無償修理︶を米国で実施する見通しとなった。同様の問題は日本でも、どんな車でも起こる可能性はある。 通信指令係﹁こちら緊急電話番号。どうしましたか﹂ 通報者﹁アクセルが動かない。トラブルが発生した。ブレーキも利かない﹂ 通信指令係﹁分かりました。車を止めることができないんですね﹂ 通報者﹁交差点が迫っている。交差点が迫っている。つかまって。祈って……﹂ 通信のやりとりを詳報した米ABCニュースなどによると、緊急通報があったのは8月28日。米カリフォルニア州サンディエゴ郊外を走行中のトヨタの高級車﹁レクサスES350﹂からだった。 運転者は州警察の高速隊員で、