朝日新聞社︵c︶ コロナ禍で国民に寄り添い、﹁祝う﹂を﹁記念﹂に変えたことで注目された天皇陛下の東京五輪の開会宣言。実は、気づく人はほとんどいなかったが、陛下はJOCの誤訳を、人目につかぬよう訂正していたのだ。平成の天皇陛下の侍従として、記者会見の英訳を担当していた多賀敏行元チュニジア大使が、令和の天皇が見せた﹁元首の器﹂を語る。 ︻写真︼あわや尻もちをつく雅子さまを陛下がナイスアシスト * * * 東京五輪の開会式のあと、天皇陛下の宣言とJOCが五輪憲章で公表する和訳を見比べていた元チュニジア大使の多賀敏行・大阪学院大学教授は、あることに気づいた。 ﹁7月23日に天皇陛下が述べた開会式の宣言は、JOCの誤訳を、さり気なく訂正なさっている﹂ そもそも開会宣言は、仏語と英語でかかれた五輪憲章の原文に明記されている。日本オリンピック委員会︵JOC︶によって和訳された宣言文を、開催国の元首が
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