さらなる金融緩和の限界 安倍晋三自民党総裁は、デフレからの脱却を図り景気を回復するために、日銀はもっと強力な金融緩和策をとるべきだと論じ、3%程度のインフレ目標を設定し、建設国債を日銀が引き受けることでマネーサプライを増加させるべきだと主張した。また政権交代が実現すれば日銀法を改正してでも、この実現を果たすと主張している。本稿では、中央銀行と政府の関係や金融政策手段とその有効性についてまとめておきたい。 筆者は1974年から1997年まで日銀に在籍していたが、97年に慶應義塾大学に移籍して以来、日銀の金融政策に関する論評は、日銀の公式見解とは距離を置いて、極力客観的に行ってきたと自負している。実際、1997年秋の金融危機以降、量的緩和を実施すべきだと主張し続けた。速水総裁の時代の2000年8月のゼロ金利解除の時には、衆議院議員の山本幸三氏、渡辺喜美氏らと一緒に解除反対の声明を出している。ま
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