永田健の時代ななめ読み ﹁空気を読まない﹂を信条とするベテラン記者が、今起きている政治、社会、国際問題を﹁ななめに﹂論評します。賛同とお叱りが相半ばする人気のコラム︵日曜更新︶ ただ﹁統計﹂というなじみの薄いジャンルであるためか、初報から政治問題化まで時間差が生じ、現在でも世論の関心はいまひとつに思える。そこで今週は﹁統計不正はどれほど大問題か﹂を、文系脳の私が例えを駆使し、分かりやすく読者に解説したいと思う。 私はひそかに﹁九州の池上さん﹂のポジションを狙っているのである。 ◇ ◇ 統計不正問題は多岐にわたるが、本丸の﹁毎月勤労統計﹂について論じる。 簡単に説明すれば、厚生労働省はこの統計の作成手法を不正に簡略化。それを途中から﹁完全版﹂に近づけるため数値の復元加工をしたところ、結果として実質賃金の伸び率がかさ上げされた。つまり実態より過大に﹁賃金が上がった﹂と公表していたのだ。