幸いなことに60才を超えて、たくさんの方にレッスンを受講していただいている。ほんとうにありがたいことだ。 そんなレッスン中、わたしがいちばん口にする言葉は﹁ゆっくり滑ってください﹂ではないだろうか? モーグルやフリースタイルスキーという経歴を持つわたしだから、﹁速く﹂ 滑ることを要求されると思っている方も多い。しかしふつうなら、わたしはごく低速からレッスンをスタートさせるし、途中でもゆっくり滑ることを求めることが多い。 それには理由がある。 長いこと指導を続け、滑りを見ていると、そのスキーヤーの身体意識を感じられるようになってきたからである。うまい下手にかかわらず、その人が自分の躰の内側で、どのように感じているのかを、見ているわたしも感じるのである。 そして、そんな身体意識はほんの少しスピードが上がっただけで、大幅に失われてしまうことが多い。 テクニカルやクラウンプライズを持つ上級スキーヤ