◇﹁起こりうる危険性問う﹂ 前橋市在住の作家、新井克昌さん︵75︶が4年前に刊行した長編小説﹁日本列島放棄﹂︵文芸春秋企画出版部︶が﹁東日本大震災を予言したような内容だ﹂と話題になっている。宮城沖で起きた巨大地震で原発事故が各地で起き、放射性物質が拡散するという内容だ。小説は絶版になっているが、新井さんは﹁地震列島の日本で起こりうる危険性を問いかけたかった﹂と執筆した動機を振り返る。︻庄司哲也︼ 物語は200X年8月、マグニチュード8・7の巨大地震が発生したとの設定で進められる。東京電力福島第1原発をはじめ国内各地で原発事故が発生し、9500万人が国外移住を迫られる。福島第1原発が最初に崩壊するという物語の展開について、新井さんは﹁予言でも何でもない。立地や耐用年数などを考慮すると、それが最も合理的だった﹂と説明する。原発関連資料を集めて女川原発︵宮城県女川町︶などにも足を運び、事故の過程