二つの﹁排除﹂ 暑い夏が到来した。昼間は暑い日差しに苦しめられ、夜も寝苦しい日々が続いている。しかし、暑さという物理的な苦しさだけではない、もう一つの苦しさが現在の日本社会を覆っているのではないか。それは﹁不寛容﹂という息苦しさである。筆者にそのような懸念を抱かせる二つの事例がある。いずれも﹁表現行為の排除﹂に関わる。 一つは、この夏の参議院議員選挙において、札幌で自民党候補者を応援すべく安倍晋三首相が街頭演説を行った際に、﹁安倍辞めろ﹂、﹁増税反対﹂などと叫んだ市民が北海道警警備部により﹁排除﹂された事例である。 もう一つは、国際的な芸術祭である﹁あいちトリエンナーレ2019﹂における﹁表現の不自由展・その後﹂展において、展示物である従軍慰安婦像︵﹁平和の少女像﹂︶が、﹁日本国民の心を踏みにじる﹂ものであり、展示を中止すべきであるとの名古屋市長の抗議や、テロ予告や脅迫を含む市民の抗議を受
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