この原稿はその名の通り「仮定法とは何か」を明らかにしていくシリーズです。新書1冊分くらい(10万字)を目安に書かれています。現時点で2万5000字までおおよそ完成、草稿段階が20万字超という状況で、完成の目処が立っておりませんが、小出しにしていくことにしました。第1回「仮定法という名称をめぐって」は、およそ5500字です。翻訳された語としての仮定法 仮定法というのは、subjunctive mood の訳語です。この subjunctive を語源的に解釈すると、「下に・つながった」という意味になります。従属節において仮定法の動詞が使われ、その節が主節に繋(つな)がれる(もしくは、「接続する」ないし「附属する」)ということを考慮すれば、subjunctive mood は仮定法と訳すのではなく、「接続法」や「附属法」という訳語を当てた方が自然に思えます。 実際に、明治期に英文法の概念が輸入
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