著者の岩田先生は、不思議な本を書く人だ。自身の専門である感染症を核にして、抗生物質、ワクチン、さらにはパニックに対するリスクコミュニケーションなどを明快に論じると同時に、自らの知見、思い、そして生き方の根本的な思想までもを、人に伝えようとする。つまりは﹁啓蒙的な本﹂を書く人と言えるのだが、その思いが非常に強く、とにかく伝えたいことがいっぱいあるので、﹁啓蒙的﹂という枠を壊すようなパワーを持った本を次々と上梓しているのだ。 例えば、漫画家・石川雅之と組んだ﹃絵でわかる感染症withもやしもん﹄などは、完全に専門的な内容なのに、イラストと文章で誰でも面白く、かつわかりやすく読めてしまうという不思議な本だった。医学や看護学を学ぶ学生がコアな読者対象となろうが、版元は医学専門書の出版社から出されたわけではなく、講談社だ。あらゆる人に、徹底的に感染症を理解してもらいたいという、著者の熱い思いが感
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