自身が運営するブログ﹃傘をひらいて、空を﹄で﹁伝聞と嘘とほんとうの話﹂を織り交ぜたエントリーを長年投稿し続けている槙野さやかさん。 淡々と、登場人物の心境を表現する槙野さんの記事は、読み手が共感してしまうシーンも多数。また、家族や恋人、友人との日常生活での出来事を描くものもあれば、職場の人間関係における感情の変化を表現したものもあり、そのジャンルはさまざま。それぞれが独立した物語として、成立しています。 今回﹃りっすん﹄では、﹁働くこと﹂をテーマに、槙野さやかさんに新たな﹁伝聞と嘘とほんとうの話﹂を書いていただきました。 * * * 当然のことではありますが、と上司が言った。わたしはいつも持ち歩いているメモとペンを取り出した。指につめたい汗が湧いた。どうやって人に変に見られないようにそれを拭うか一秒で検討し、左手にメモを持ち替えて裾を直すふりをした。周囲をそっとうかがった。もちろん誰もメモ
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