怒らない練習 先日、某特急にのりました。座席は、進行方向両側2席づつです。私はその日、右側窓際席Aにすわっていました。最初はきわめて空いていて、私の周辺には誰もいませんでした。 ところが、ある駅に着くと、急に大勢の乗客がありました。私がぼんやり新聞を見ていると、急に車内がさわがしくなりました。 ﹁ここよ!ここ!﹂﹁私のは?﹂﹁そこ、窓側﹂ 気がつくと中年ご婦人の一行が、私の前の席を指差しています。 ﹁あ、杉浦さんのは、後ろねえ!﹂﹁え、私、後ろ?﹂﹁大丈夫よ!﹂ この﹁大丈夫﹂の一声が発せられたとたん、私の前の座席がぐるっと一回転したかとおもうと、そこに中年のご婦人がふたり、どさっと鎮座なさいました。つまり、私は、ご婦人グループお三方にとりまかれて坐ることになったのです。 ﹁あら、まあ、ごめんなさいね!﹂ ﹁大丈夫よ!﹂の声の主ににこやかに挨拶され、別の方から おすそわけ、とミカンをもらい