この人は、毎日、勉強していて楽しかったのだろうなぁと思いました。勘は鋭いし、具体的なことから抽象的なことを読み取る力も優れているし、一緒に話したら楽しいだろうなぁと思って、頁を捲ったのでした。 さて、宣長のすごい業績は、三つあります。 ひとつは、古典研究についてです。なんと言っていいのか分からない、ことばにしてしまうと失われてしまうかもしれない、日本的な情緒を﹁もののあはれ﹂ということばで表すことができたからです。 二つめは、日本語の文法についての研究、三つめは漢字音研究です。 さて、本居宣長の日本語の文法の研究の中心は、﹁係り結び﹂と﹁活用﹂です。﹁係り結び﹂は高校の古典で習いましたね。﹁ぞ、なむ、や、か﹂という﹁係り助詞﹂があると文末の活用形が連体形になる。﹁こそ﹂があると已然形になる。 これを発見したのは、本居宣長です。 古代日本人思考を知るカギだった 我々がいわゆる﹁古典﹂で習う﹃