2007年で一番面白かったSFです。簡単にあらすじを紹介すると、それまでひとつだった時空がてんでばらばらにはじけ飛んだ未曾有の危機﹁イベント﹂を前後して、人間やその他の知性体があれやこれやと奮闘するドタバタ喜劇、といったところでしょうか。喜劇というと語弊があるかもしれません。なぜなら彼らはいたって真面目に宇宙と世界の謎について探求しているのですから。しかし、その内容のあまりの突飛さ、常識の範疇を軽く超えるスケールのでかさを前にしては、思わず笑うしかありません。﹁高度に発達した科学技術は魔法と見分けがつかない﹂というのはかのクラークの言ですが、高度に発達したSFはギャグと見分けがつかない、と本書をもって実感しました。 しかもただ単に大ぼらを吹いて読者を煙に巻いているのかと思えばそんなことはなく、グレッグ・イーガンやテッド・チャンにも通じる論理の深さと鋭さを併せ持っています。とはいえそれが完璧
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