BookとMathematicsに関するttpoohのブックマーク (7)
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一般の人が、数学を本を読んで理解しようとするとき、二つの障壁を乗り越えねばならない。一つは、語られている概念が抽象的であること、そしてもう一つは、それを語っている﹁言葉﹂が数式というこれまた﹁読みにくい言語﹂だ、ということだ。書き手が後者を突破する道は二者択一である。第一の道は、数式を使わず、極力日常の言語で表現すること。第二の道は、あえて﹁数式言語の読み方をレクチャーする﹂ことである。でも、第二の道を選択する書き手はほぼ皆無である。なぜなら、相当しんどい作業になる上、それだけの努力が本の売り上げに貢献するとは考えられないからだ。かくいうぼくも、第二の道を試みたことは一回しかない。それは﹃文系のための数学教室﹄講談社現代新書で、﹁ルベーグ積分﹂を題材に、積分記号の読解の作法を伝授した部分だ。そこでのメッセージは、﹁数式には独特の読解の仕方がある。記号を記号のまま受け入れようとせずに、自分の
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天才数学者が犯罪者を追い詰める。 アメリカのドラマ﹁NUMB3RS﹂の話だけれど、実際の事件をベースにしている。科学捜査官ならぬ数学捜査官。そのエピソードを糸口にして、元ネタとなっている様々な数学概念を解説するのが本書。サスペンスのドキドキ感と数学のエウレカ!を楽しみながら読む。 まず、ロサンゼルスの連続殺人鬼。若い女を次々と強姦殺人した現場が、街路図に×印で記されている。捜査は行き詰っており、手がかりはない。次はどこで、誰なのか――? この事件を解決する数学の発想がスゴい。わたしなら、﹁×群の真ん中あたり﹂しか思いつかないが、この天才数学者は試行錯誤の結果、次の数式を書く。 もちろんわたしにゃチンプンカンプンだった――が、本書ではその肝を解説してくれるので安心して︵そしてわたしに訊かないように!︶。 これは、連続殺人犯の自宅を絞り込むための式だそうな。犯人は尻尾をつかませないよう、ランダ
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今日あたりから、ぼくの新著 ﹃数学でつまずくのはなぜか﹄講談社現代新書 が、書店に並び始めていると思うので、ここでも宣伝させていただきたい。 数学でつまずくのはなぜか (講談社現代新書) 作者: 小島寛之出版社/メーカー: 講談社発売日: 2008/01/18メディア: 新書購入: 50人 クリック: 1,019回この商品を含むブログ (104件) を見る この本は、経済学者としてのぼくではなく、また、数学エッセイストとしての ぼくでもなく、もう数学を教えていない今になってもまだ人生の半分以上の時間を数学講師の時代が占有しているぼくの経験を書いたものだ。 いってみるなら、数学教育で試みたことの集大成であり、最後の仕上げとなるだろう。 (もちろん、またどこかで数学を教える機会がやってくるかもしれないけど︶ そういうわけで、この本には、こどもに数学を伝道する上で、考え出した いくつかのアプロー
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2008年01月20日07:00 カテゴリ書評/画評/品評Math 数学は友達だ! - 書評 - 数学でつまずくのはなぜか これがスゴ本でなくて何をスゴ本と呼べばいいのか。 数学でつまずくのはなぜか 小島寛之 ﹁﹃(数学|算数)がわからない﹄がわからない﹂人は、必ず手に入れよう。教師、塾の講師、家庭教師はまず必読。家で子どもの宿題を教える機会のある父母兄姉も必読。教わる方としても、教える方の手口を知っておくために入手しておくべき。 本書、﹁数学でつまづくのはなぜか﹂がどんな本から、著者に直接語ってもらおう。 P. 3 この本は、こどもたちと数学のあいだがらのことを書いた本だ。 でも、﹁どうやってこどもたちに上手に数学を教えられるか﹂ということを書いた本ではない。どちらかというと、﹁どうやったらこどもたちから数学を学ぶことができるか﹂、それを書いた本である。 さらに言うなら、﹁数学がいかに有
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塾に行かせない方針だけど、読み書き算数は徹底している。できないと苦労するからね。 しかし、これが﹁数学﹂になると文句が出るはず、﹁どうして生活の役に立たない数学を勉強しなきゃならないの?﹂ってね。もっともらしい小理屈はネットで探すとしても、とーちゃんが信じている理由は上手く表現できない。 学校の数学の目的は、抽象化や論理的思考力を身につけることなんだが、そのまま言ってもハイそうですかと分かってもらえない。﹁考えるチカラ﹂なんて表現も納得しないな︵自分が子どもだった頃を思い返してみよ!︶。 わたしの場合、数学の恩恵は常考レベルで染みわたっており、生活の端々でしみじみすることはない。帰納法は意識せず使うし、問題解決の基本﹁仮説検証プロセス﹂は公理→定理の導出そのもの。教養書の数式の鮮烈さにドキドキすることはあっても、﹁そのため﹂の勉強だと言っちゃうと逆効果だろう。 ちょうどいい本が、よりみちパ
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2007年03月05日05:00 カテゴリ書評/画評/品評Math 書評 - 数学入門 以前書評を予告しながらまだ書評していなかったのだけれど、﹁文化としての数学﹂(これまた光文社新書)も復刻されたので年貢をおさめておきたく。 数学入門 遠山啓 404 Blog Not Found:急がば微積本書は、遠山啓の﹁数学入門﹂(上下)あたりと一緒に読むことをお薦めする。そう。この﹁数学入門﹂も書評の対象なのだけど、体調不如意につき今晩はこれまで。 本書﹁数学入門﹂は、タイトルどおりの本。岩波新書でこういう直球のタイトルがついたものはまず外れがないのだけど、その中でも傑作中の傑作がこれ。なにしろ私が生まれる10年前に出版されて、それが未だに元のまま、遠山啓が亡くなった今も版を重ね、Amazonでも﹁在庫あり﹂なのだ。 中学を登校拒否している間、本書が私にとっての数学教師だった。だから本書が21世紀
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2006年12月12日16:00 カテゴリ書評/画評/品評Math 書評 - はじめまして数学 ﹁はやぶさ-不死身の探査機と宇宙研の物語﹂の書評を書いている時に気がついて買ったのだが、これはすごい!はじめまして数学(1,2,3) 吉田武 今年も残すところ20日を切ってしまったが、今年の文庫のノンフィクション部門No.0はほぼこれで決定だと思う。 全三巻の本シリーズ﹁はじめまして数学﹂は、﹁中学生からのeiπ = -1﹂を﹁オイラーの贈物﹂でやってのけた吉田武が、今度は小学生向けに書いた、ガチの数学(再)入門だ。これだけですでに面白さは保証されたようなものだが、さらに凄いのが、その体裁。 三巻とも二色刷りで、大高郁子のイラスト付き。というより吉田氏が脚本を書いて、それを大高氏が絵本にしたという方が近い。それだけでもずいぶんとコスト高になると思うのだが、さらに驚くべき事に本書にはきちんと索引
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