﹁僕が書きたかったのは、出来事の記録というよりは、人々の思想が紡ぎだすような物語である。思想といってもふつうの意味とは少し違う︵…︶むしろはっきりとは意識されぬまま行動を裏付けていたような彼らの思い——彼らがまさにそれによって生き、筆をとる力としていたような内なる思いのことだ﹂︵﹁プロローグ 失われた世代﹂︶。 生まれた土地や家の影がうすれ、世代の感覚が何よりも意味をもち、まるで現代の原風景が出現したような1920年代アメリカ。みずからもロスト・ジェネレーション作家のひとりカウリーが描くクロニクルは、歴史転換期に青春を迎えた若い知識層の文化的・思想的経験を鮮烈なままに刻みつける。これは自伝的記録であり思想的エッセイであり、そして20世紀あるいは今現在をも含む﹁現代﹂そのものの青年期を記した、かけがえのない思想史でもあるのだ。 この本がのちの大批評家カウリーの輝かしい第一歩となった。かつて﹃
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