じいちゃんに聞いた戦争の体験話。特別感動的でもないし、奇跡的でもない。 だけどもうじいちゃんは死んだので俺しか知らない話になっている。だからここに残す。 * * * 小学生の頃、寝る前とかにじいちゃんに ﹁怖い話をして﹂ とねだると必ず戦争の話になった。 子どもの俺は口裂け女とか人面犬の話がして欲しいのに、じいちゃんは必ず戦争の話をした。 話は大体決まっていて、﹁船の甲板にいて戦闘機が襲ってきたら跳弾が危ないから伏せろ﹂だとか﹁射撃台が打たれるからちかづくな﹂というような使いようのないTipsだった。 子どもながらにじいちゃんは歳だから気の利いた怪談話とかを知らないんだなと渋々聞いていた。 * * * 俺が社会人になって家を出て数年したある日、じいちゃんから突然電話がかかってきた。 なんと田舎から出て来て、一人暮らしの俺の家の前まで来ていた。 平日だったので仕事中だったが早退してじいちゃん
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