前回の当欄で話題にした雑誌「新潮45」をめぐる騒動は、同誌の休刊(9月25日に新潮社の公式サイト上で告知された→こちら)をもって一応の決着をみることとなった。 「一応の決着」という言葉を使ったのは、私自身、休刊が本当の決着だとは思っていないからだ。 もちろん、マトモな決着だとも思っていない。というよりも、こんなものは決着と呼ぶには値しないと思っている。 現時点で感じているところを率直に開陳すれば、私はこのたびのこのタイミングでの新潮社による休刊という決断にあきれている。理由は、休刊が一連の騒動への回答として不十分であり、「杉田論文」が引き起こした問題を解決するための手段としても、的外れかつ筋違いであると考えるからだ。こんなものが説明になるはずもなければ、事態を打開する突破口になる道理もないことは、多少ともメディアにかかわった経験を持つ人間であれば誰にだって見当のつくはずのことで、休刊は、言
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「バグを排除しようと圧力をかけると、バグが報告されないプロジェクトになる」 この寸言は、よく忘れられる。シックス・シグマや日経ナントカに染まった管理者が、バグを目の敵にし、バグゼロの号令をかける。不具合が表面化すると、たまたまそこに詳しいだけの担当を犯人扱いし、なぜなぜ分析を強要し、ccメールや全体会議で晒し者にする。 なぜなぜ分析とは、「なぜそれが起きたのか?」「その原因の原因は?」と、原因を幾重にも掘り下げる手法のこと。5段階も遡及すると、たいてい「私の不注意でした」となり、対策は「意識を入れ替える」という小学校の学級目標になる。反面、もっと深刻な「仕様変更が電話口で伝えられていた」とか「アジャイルの名のもとにテストが省略されていた」などは放置される(なぜなら、「人」を原因にしたいから)。 こんな冗談みたいな施策を続けていくと、スケープゴートになった人はどんどん心をすり減らし、不具合の
アメリカでもロングセラー、日本でも発売後すぐに増刷を重ねる勢いで話題となっている『米海軍で屈指の潜水艦艦長による「最強組織」の作り方』の著者に、新しい組織のあり方を聞いた。今回はその続編である(前編はこちらから→「なぜ軍隊なのに、命令なしで勝てるのか」)。 たった1年でリーグトップの成績をあげた野球チーム 情報のあるところに「権限を下ろして」成功した例として、もうひとつ、ある野球チームの話をご紹介しましょう。 2013年、ケンタッキー大学の野球チームの打率は、所属するリーグで最低の記録となりました。2014年に入ってからもひどいスランプから抜け出せずにいて、バッティングコーチのブライアン・グリーンは、選手との接し方を変えようと決意します。 それまでは、ああしろ、こうしろと選手に命じていたのですが、それをやめて、バッターボックスにたったときにどうするのかを、選手のほうから話すように促したので
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