いま話題の芥川賞受賞作に倣えば、﹁学者、燃ゆ﹂だろうか。正直、驚くとともに、強い懸念を感じている。 ﹃応仁の乱﹄などのベストセラーで知られる呉座勇一氏︵日本中世史︶が、SNSでの﹁炎上﹂がきっかけで、NHK大河ドラマの時代考証を外れることになった。発端は、フェミニストとしての批評活動でも知られる北村紗衣氏︵英文学︶との論争である。 炎上ならなにをしてもよいわけではない 当初は、日本中世史の大家である網野善彦︵故人︶の文章を﹁正しく読めるのはどちらか﹂という論点での、よくある学者どうしの諍いだった。しかし呉座氏が従来から、彼のTwitterアカウントのフォロワー︵=おおむねファン︶にしか見えない場所で、何度も北村氏を揶揄していた事実が明らかになり、﹁女性蔑視だ﹂との非難が殺到することになった。 呉座氏はその後、北村氏に対して非を認め、謝罪している。私自身、呉座氏の行為は褒められたことではなく
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