﹁地方では、東京では考えられないような変化が起きるんですよ﹂ フェス後の打ち上げで盛り上がるスタッフを横目に、イベントプロデューサーの鶴田宏和さんは笑顔を見せた。食卓いっぱいに並んだお惣菜に、地元の日本酒を酌み交わす賑わいのなかから、僕は鶴田さんの声を拾おうとiPhoneを向けた。 ﹁あえて大掛かりな仕掛けはせず、毎年DIYで増築してきたようなフェス。大手のスポンサーを入れたり、フェス受けするようなアーティストを集めるような“正常進化”はしたくなかったんです。東京もそうだけど、正常進化の枠で考えられることって、もう僕はあまり面白くないと思っていて﹂ ここは、長野県山ノ内町、渋温泉郷。 東京からクルマで4時間あまりの、山間の温泉街だ。豊富な湯量と泉質が自慢だけれど、箱根や熱海なんかと比べれば、その名前はメジャーではないだろう。 でも、この街で1年に一度開催され、今年で9回目になる音楽フェス﹁
![長野の渋温泉フェスに行ったら、旅館の若旦那がDJにハマって面白いことになってる](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/3eb072b9a988e65d79e88f19317b5da60554a3b0/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fapi.kai-you.net%2Fstorage%2Fimages%2Fupload_images%2F2023%2F10%2F6bb1ea97-986c-4c9c-9dea-fc85b377af3b%2Fmain.webp)